【同じこと。正し、違うこと。】

第136話

【同じこと。正し、違うこと。】


 ある学者が、生徒から問われた。

「学者にならない私たちが、こんなことを習って、社会に出てから何の役に立つのですか?」

 学者は頬を緩め、答えた。

【なんの役に立つか、だって? なら逆に君へ問うが、役に立つことってなんだい? そんなものなんてあるかな? なぜ、こんなことをしているのか、と問うのがこの場合、正しいように私は思うのだが、いかがだろうか? そして、その問いへの返答を言うならば、楽しいじゃないか、だよ。飽くまで、私の、私にとっての、返答だがね】


 ある少女が、瀕死の男から問われた。

「何の罪もない・・・我々が・・・・・・なぜ、殺されなくてはならない。なぜ君は・・・こんな酷いことを・・するんだ・・・・・・」

 少女は口元を緩め、答える。

【なぜこんな酷いことをするんだ、ですって? そんなことは決まっているじゃない。楽しいからよ。面白いことを言うのね、あなた。まだ殺さなくって正解だったわ。えっとぉ、大体ね、自分たちには罪がないって言っていますけれど、罪ってなに? もし、私に罪があるというのなら、あなた達にだって罪はありますよ。正し、それはきっとあなた達にとっては罪ではないでしょうけれどね。逆にね、あなた達に罪が無いというのなら、私にだって、何の罪もないわ。ああ、駄目よ、これじゃ駄目だわ。何だか私、とっても不愉快になってきたわ。やっぱりあなた、楽しくないわね】

 彼女は男にトドメを差すと、残りの隠れている住民を、悠々自適に探し回った。

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