【「最近のこと」~CASE3:友人D~】

第119話

【「最近のこと」~CASE3:友人D~】


 最近のことで、しかもこいつらに関わりのあることで、尚且つこのブログに合いそうな話題を書くとなると、書くことなんてそうそうないんだがなー。

 とりあえず、適当に書くか。


 まぁ、あれだ、前々から気障なダンサー野郎(以降「奴」と表記)から勧められていたアニメを観た。

なんだかシリーズで26話くらいあって面倒臭いから観ていなかったのだが、「いや、ホント観た方がいいですよ」なんて奴には珍しく熱く薦められたので、「じゃぁまずは一話だけ観てみますわ」と重い腰を上げてみせた。

 すると奴は、「なら第十二話から観てみてよ」とありえない要望を出してきやがった。

 シリーズ物を途中から観るなんてことはあたしにとってはあり得ない。マジであり得ない。

 ここのブログ管理人とあたしは違うんだっつーの。

「変人のあいつと一緒にすんなよなー」とわたしは苦言を物申したわけですわ。

 したら奴は、「だって、一話だけ見て続きを観るか決めるわけですよね?だったら十二話を最初にお願いします!僕を信じてさ」と気障なセリフと共に、背筋に虫が這ったような寒気をあたしにくれた。「信じてよ」、なんて現実世界で聞いたの初めてだっつーの。

「まぁ、そこまで言うなら」、とあたしは仕方なく、家に帰ってから早速奴から借りたDVDに収録された奴お勧めの第十二話の物語を観点したわけですが、、、ええ、ええ、気障なテメェーが勧める物語、しかもアニメなわけですから、映画に携わるあたしから言わせてもらえれば、こんなもんハッキリ言って・・・・・・ドストライクでしたわ↓↓↓

 いやはや、おもしぇかったです。

 観終わった後速攻で、「DVD全部貸してくれ」と奴に連絡しましたよ。

 でも奴は忙しかったらしく、借りられなかったんで、自分で金払ってお店からBlu-ray借りてきて第一話から第十四話まで観たところ。まぁ、最近はそんなこんであたしも軽く睡眠不足なんよ。

 んで、奴お勧めの第十二話であたしがハマった会話。

 前半の「秘密の金魚」の話も良かったけれど、まぁ、こっちの方が好きだわな。

 以下ネタばれなんで、まだ観てない人でこれから観ようと思っている方は注意してな!

:若干補正して書かせて頂きました。



***

 壁一面に垂れさがるスクリーンに映し出された映像を見て、女は涙を溢した。

 他の観客は皆、とり憑かれたように、その映像に見入っている。

 瞬きすらせず、微動だにしない。どの観客も、その場を立ち去る気配は一向に無かった。

 女は扉を開き、映画館を後にする。


 薄暗い、待合室のような廊下。そこにあるソファーに老人は座っていた。廊下の先にある扉から、女が歩んで来る。女は老人の前で立ち止まった。彼女は歩む先を見据えたままで、老人を見ない。横顔だけが、仄かに灯る古びた蛍光灯の明かりで浮き上がって見える。どこか威圧的な、しかし人形のように整った顔立ちの女性だった。

「どうだった?」老人は彼女を見上げ、問う。どことなく期待の籠った、けれど不安が垣間見えそうな親しみのある声だった。

「確かにいい映画と言えなくもないわね」女は老人に視線を向けることなく、淡々と答える。「でも、どんな娯楽も一過性のものだし、またそうあるべきだわ。始まりも終わりもなく、ただ観客を魅了したまま手放そうとしない映画なんて、それがどんなに素晴らしく思えたとしても、害にしかならない」視線は一向に通路の先を見据えている。

「ほぉ、手厳しいの」老人は彼女を見上げたままで、「我々観客には戻るべき現実があるとでも言いたいのかね」と朗らかに囁く。

「そうよ」女は間髪入れず答えた。

 老人は彼女から視線を外し、「ここの観客の中には現実へ戻った途端に不幸が待ち受けている者もいる。そういう連中の夢を取り上げ、あんたは責任を負えるのかね?」と伏し目がちに床へ言葉を溢す。

「負えないわ。でも夢は現実の中で戦ってこそ意味がある。他人の夢に自分を投影しているだけでは、死んだも同然だ」どこか儚げな口調。囁くような彼女の言葉は、老人にではなく、自身に言い聞かせるようにも、他の誰かへ向けての言葉にも聞こえる。

「リアリストだな」老人は再び顔を上げ、今までにないような落ち着きのある声を出した。

「現実逃避をロマンチストと呼ぶならね」ようやく彼女は老人へ視線を向けた。見下ろすように。

 老人は微笑む。「強い娘よの。いつかあんたの信じる現実がつくれたら呼んでくれ、その時わしらはこの映画館から出てゆくとしよう」片手を彼女へ差し出し、老人は握手を求めた。

 その差し出された老人の手を見詰めたまま、数秒の間固まるように考えてから、女はその皺の刻まれた手へ自身の手を導いた。

***


うん。やばいね。

 あたしが映画に携わっているからなのか、どうなのかは定かではないけど、心に染みた会話だわ。

 しかもこのアニメ、シリーズ通しての伏線やらメタファやら引用やらパロディのオンパレード。楽しめ過ぎるっちゅーねん。

 オタクアニメは嫌いだが、イイ作品はイイ。

 新しい発見をした最近のあたしでしたとさ。

 チャンチャン!!笑

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