【少女のおしゃべり】

第56話

【少女のおしゃべり】


『会話はお人形さんと。そしてお友達はいつも一緒』


 あたしのお友達はとっても無口。でもあたしはその子が大好きなの。きっとその子もあたしが大好き。だってあたしが他の子と遊ぼうとしてもその子はあたしと遊びたいみたいで、あたしから離れないの。それに髪型とかお洋服とかもあたしの真似ばかりして真似っ子なんだもん。でもあたしは偉いから怒ったりしないの。それにその子が可哀相だから二人っきりで遊んであげるのよ。

 でもその子、いつも途中で勝手に帰ってしまうの。だからあたしいつも一人で帰るのよ。平気な顔しているけど本当はあたし、少し寂しいんだ……。このことはここだけの内緒よ、約束ね。

 それでね、「今日は勝手に帰らないでね」って頼んでみたの。でもその子はまた黙って帰ってしまったわ。

 だから次の日にあたし、その子のことを思いっ切り踏み付けてしまったの。何度も何度も。だって悲しかったんですもの、とても。そしたらその子が泣きだしてしまったの。

 でも本当は、彼女が泣いていたんじゃなくって、雨が降ってきただけだったのよ。あたしが雨に気を取られている間に、その子はまた黙って帰ってしまった。

 あたしはしばらくそこで待っていたの。雨が頬から滴り落ちてくる、どんどん落ちてくるの。でもね、お空を見上げてみると遠くに虹が架かっていて、真上のお空には雲さんもいなくなってたわ。

 それでね、もしかしたらって思って下を見たら、その子が帰って来ていたの。なのに、雨はまだ降っているのよ。不思議だなぁと思っていたら、ふふっ。あぁ可笑しい。

 地面にね、水溜りができていたんだけど、そこにあたしのお顔が映っていたの。そこのあたし、泣いていたわ。雨だと思っていたら、あたしの涙だったの。ふふっ笑っちゃうでしょ?

 そしたら、水溜りに映っているあたしの顔とその子の顔が丁度重なって見えて、まるでその子が泣いているみたいなのよ。あれ?でも、もしかしたら本当にその子が泣いていたのかしら? う~ん……思い出せないわ。明日聞いてみようかな。でも無駄なんだろうなぁ。

 だってあたしのお友たち、無口なんだもん。

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