【裸にパンツの王様】

第37話

【裸にパンツの王様】


 パンツ一丁の王様はカンカンです。

「貴様! よくもわしを騙しおったな!! 正直者にしか見えない服じゃと? 見えている者などいなかったぞ!!」

 仕立屋の服職人は困った顔で言います。

「何をおっしゃられておいでですか王様。現にまだあなた様は服を着られておられるではありませんか」

「まだ言うか貴様! もう我慢ならん! もの共、こやつを引っ捕らえい、打ち首じゃ!」

「お、お待ちくださいませ王様!! 私は本当の事を申しておるだけでございます、どうか信じて下さいませ!!」

 兵士に縛り上げられながらも、頭を何度も床に擦り付けて懇願する服職人を尻目に王様は、壁に飾られている何とも高価そうな斧に手を掛けた。

「最期の慈悲だ、わし自らが処刑してやろう、光栄に思え」

 涙を流すことも忘れ、服職人はひたすらに「信じてください王様」と吠え続けていた。

「嘘つきの何を……」王様は重そうな腕を大きく振りかぶり「…信じろと言うのじゃ!!」怒鳴りながら、今度は軽々しく腕を振り下ろした。


 飛び散る鮮血。

 転がる塊。

 静まる王室。


 王様は身体の血を洗い流すため風呂場へ向かった。

 風呂場の床には、素敵に装飾された赤い服が無造作に捨てられていた。

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