138話 女子こわい

 カリカリ。ペラッペラ。


 勉強会を始めて1時間くらいが経とうとしている。聞こえてくるのはシャーペンの音と紙をめくる音だけ。


 すごい。みんな集中してる。ガチモードだ。俺もそれに影響されてすごい捗る。これならこっちに来て正解だったかもしれない。


 もし、進の家で勉強することになれば多分ゲームしたり本読んだりしてグダグダになっていたこと間違いない。


 結局ほぼ何もしなかったってのはよくあることだ。昼間に出来なかった分、夜にしわ寄せが来て大変だった。


 キーンコーンカーンコーン


 どこからか学校で聞くチャイムの音が。この公民館にそんなのはなかったはずだが。


「ふぅ。1時間経ったし休もっか」


 片瀬さんがそう言うと1人、2人とシャーペンを置いて顔を上げ出す。なるほど。だらだらやらず集中して1時間頑張るってことか。


 中には「キリのいいところまでやる!」って人もいた。その気持ち分かる。中途半端に終わるのは嫌だよな。


「ん〜っ」


 背伸びして俺も休憩に入る。


「祐くん祐くん。数学のこの問題ってどうやるのかな」


「ん? ここ? ちょっと待ってよ、考えるから」


 俺が得意なのは数学、理科。葵は国語や英語。


「んー、ここをこうして代入したら…」


「ふふふ」


 俺が言われた問題を解いていたら急に葵が笑い出した。


「やっぱり集中してる祐くんってかっこいいなぁ。前にも言ったけどやっぱり素敵だなぁ」


「ちょっと葵。他の人いるからやめて」


 俺は直ぐに辞めるよう言った。しかし、遅かった。もうすでにみんなニヤニヤしてこっちを見ている。


 やっぱり進の家に行った方がよかったかも。


「ほんと2人はいつもイチャイチャしちゃって。学校じゃあんまり聞けないから今日はとことん聞いちゃおう!」


 片瀬さん鬼だ。


「それじゃまずその2人が付けてるペンダントについて聞きたい!」


 鬼は他にもいた。クラスでも仲良くしてくれている女子が恐ろしい。


 勉強会から一変、恥ずかしいことを暴露される地獄と化した。





「ふぅん。このペンダントはそう言う意味があるのね」


 もうやめてください。そんなニヤニヤした顔で俺を見ないでください。もう恥ずかしくて学校行けなくなりました。


「ほんといいなぁ。私もこういう彼氏欲しい」


 うっとりとした感じになったクラスの女子の皆さん。葵は胸を張っていた。


「ちょっと葵ちゃん。1日だけ神子戸くんを私の彼氏にさせてよ。ちょっと思い出が欲しいの」


 は? 俺は心の中でそう言ってしまった。よく口に出さなかったなと思う。何を言ってるんだこの人たちは。


「ごめんね。祐くんは私の人だからレンタルはできないの」


「そっか〜。残念」


 いや、当たり前でしょ。レンタル彼氏はやっておりません、


「それじゃ次は他に夏休みあったことを聞かせてもらおうかな」


 この地獄いつまで続くんだ。


 キーンコーンカーンコーン


 ここでまたチャイムが。そしたらみんな自分の席に戻りだした。


「ちぇっ。もっと聞きたかったんだけど鳴ったからまた勉強しないと」


 どうやらこのチャイムにしっかり従うようだ。助かった。


 でもまた1時間後…


 あぁ、もうこのまま次のチャイム鳴らないでくれ。


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