137話 勉強会

「なんでこうなったんだ」


「まぁいいじゃん。それに祐くん、前にもこうやってたんでしょ?」


 今俺たちが来ているのは市の公民館。テスト週間の休日はたまにここの学習スペースで勉強しているので見慣れた場所のはずなんだが…


「葵、前回は放課後ちょっとやっただけなんだけど」




 ◆◆◆




 事件が起こったのは朝の7時。今日は土曜日で部活がないのでもっと寝ていようと思ったんだが、そこを葵に叩き起こされたのだ。


「祐くん、今日はクラスのみんなと勉強会だよ!」


「俺は聞いてないよ。葵だけが呼ばれたんじゃない?」


 メッセージアプリにもそんなメッセージは無かったし、今日勉強会するとかそんなことを約束した覚えもない。


「ふふん。そりゃ聞いてないよ。祐くんにはサプライズで驚かせちゃおうってことで黙ってたから」


「そんなサプライズいらないよ!?」




 ◆◆◆




 そして葵に連れて来られてやって来たのがこの公民館ってわけ。そして驚くのはやる場所だ。学習室じゃなくて20人程度が使える会議室。なんでも2、3日前に予約して空いていたらこうやって誰でも使えるらしい。


「ここなら喋ってもいいし、勉強会にはぴったりでしょ」


 確かに学習室はガチ勢の集まりでシャーペンの音と教科書がめくれる音しかしない空間だ。みんなが教え合ったりするのには向いてないかもしれない。それを考えるとここはいい場所だ。


 でも1つだけ気になることがある。


「あの片瀬さん。俺以外の男子は?」


 周りを見渡しても男子はいない。後から来るんだろうか。でも部屋は人数ギリギリだ。


「え? 来ないよ? 男子は誰かの家とかに行って勉強するんだって」


「え? なら俺もそっち行ってもいい? 女子の中に男子が俺だけなのはちょっと…」


 20対1の空間とか無理に決まってる。なんの地獄なんだろうか。


「えぇ神子戸くん前約束してくれたじゃん。勉強会するって」


「あれって期末の時だよね? 放課後ちょっとやっただけだし男子もいたじゃん」


 放課後30分くらいなぜかやらされた教室での勉強会。普通みんな帰ると思ったのに誰も帰らずみんなで頑張った覚えがある。


 俺は今回もそんな感じだろうと思ったのに。これはやばい。


「それにこれは俺がいたほうが邪魔になりそうだし、女子だけでいろいろ喋った方が良いんじゃない?」


 そうだ。俺1人男子がいても気を使わせてしまう。ここは俺は退散したほうが良さそうだ。


「え? 祐くん帰っちゃうの? 私すっごく楽しみにしてたのに…」


「あぁ神子戸くんいっけないんだぁ。彼女さん悲しんでるぞ〜」


 俺がかなりまともなことを言ったはずなのに何故か俺いっけない〜雰囲気が出てきた。でも葵が悲しんでるのはほんとっぽい。


「分かったよ! 今日はここで勉強します! これでいいんだろ?」


 惚れた弱みというか葵にそんな顔されてまで俺は自分の意見を通すのは辞めた。


「ありがとう祐くん! 今日帰りにコンビニでシュークリーム買ってあげる!」


 こうやって笑顔の葵が見れたんだ。今日はこれでいいじゃないか。

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