132話 俺の知らないところで

「そういえば葵の部屋って最初よりすごい片付いたよね」


 葵の部屋をぐるっと見渡すとしっかり整理されている。教科書だったり文庫本、雑誌だったりがきれいに並んでる。可愛い系グッズも置いてあって女の子らしいなって思ってしまう。


 言っておくが葵が片付けができない人とかそういうことじゃない。みんな知っている通り葵は1ヶ月半ほど前に引っ越してきた。


 いや、帰って来てくれたと言う方が適切かな。そこから自分の部屋に本棚をどう置くかとかいろいろ悩んでいた。それもあって俺の部屋に来ることが多かったんだけど。


 葵と付き合い始めた初日にここでお泊まりしたけど、その時はまだベッドとかしかない殺風景な感じだった。でもそれ以上にあの時はドキドキした。


「ん? 葵。あれってなんだ?」


 俺が気になったのは「祐くんとの思い出 7月から」と書かれたアルバム。これって前の「祐くんフォルダ」なるものじゃないだろうな。


「あっ、それは恥ずかしいけど見てもいいよ」


 葵がそう言ってくれたのでちょっと見てみることに。


「なんか写真付きの日記みたい」


「そうでしょ。思い出とか日々の日常をこうやってるの」


 中身はアルバムなので写真がメイン。でもその写真の横に1枚1枚可愛らしい便箋の様な紙にその写真を撮った日だったり、何をしていたか感想まで書いてあった。


「あ、これ文化祭の時のやつだ」


「楽しかったよね。あの時も祐くん1人で大変な仕事を抱え込んじゃって」


「あの時の葵には本当に感謝だよ」


「本当私をもっと頼ってよね」


「ん? この写真どこから…」


 俺が見つけたのはたぶん昼休みだろう俺が葵に膝枕されて寝ている写真。これを撮ったのは絶対葵じゃない。だって葵の全体が見えるから。


「これはね、クラスの女子が撮ってくれたの。寝顔かわいいねとか言いながら」


「うそだろ…俺が葵の膝の上で気持ちよさそうにしてるのを…もう学校行きたくない。恥ずかしすぎる」


「大丈夫だよ。祐くん幸せそうとか言ってただけだったから」


 それでも俺は恥ずかしいわ! たぶんこの写真クラスの女子みんな持ってるパターンだし。


 俺の知らぬ間にいろんなことがあったらしい。


 まぁ気にしてもしょうがないので、そのまましばらくアルバムを見ながら再会してからの思い出話にふけっていた。

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