127話 寝る前に

「女の子も好きな人とはいろいろしたいんだよ? それこそキス以上のことも…」


「あのさ、葵。それってどういう?」


「それ以上は女の子には言わせないでよ…」


 言ってくれないと分かんないよぉ! これで間違えてたら死ぬほど恥ずかしいだろ!


「と、とりあえず勉強続けようか…後30分くらい頑張ろ」


 俺は逃げるを選択した。これ以上葵と喋ってたら何しでかすか分からない。俺も葵も。


 葵はぷぅとほっぺを膨らませたりニヤニヤしたりしてたけど気にしない気にしない。気にしたら負けだ。


 そのあと化学をやったけど全く頭に入ってこなかった。



 ◆◆◆



「それじゃ祐くん寝よっか。明日は大変だし夜更かしは良くないから」


「あ、うん」


 葵の案には賛成だ。もう12時。いつもなら勉強が終われば本を読んだりお喋りしているけれど明日がテストとなればそれはできない。


 俺が布団に入ると当然のように俺の横にピタッとくっつく葵。一応葵用の布団がいつのまにかあったのに使ったことはほぼない。俺の横で寝るって言って聞かないから。俺もいいんだけどね。


「それじゃおやすみ」


「うん。おやすみなさい祐くん」


 電気を消したら、後は寝るだけ。


 のはずなんだが。寝れない! さっきあんな会話しておいてさっさと寝れるほど精神力強くない。


「祐くん起きてるかな〜」


 葵も起きてるらしい。でもここで返事したら、そのまま喋って夜を明かしそう。それくらい葵となら喋ってられる。と


「よしよし。よく寝てるね。本当さっきのは私も恥ずかしかったんだぞ〜。大好きな祐くんにあんなこと言っちゃったから。私に手を出したいならいつでもいいんだけどなぁ。まあ祐くんは優しいし、そういうところキッチリしてるからね。ってこれじゃ私が変態みたいじゃん」


 俺の大好きな葵は何を言っているんだろう。でもこれだけじゃ終わらなかった。


「と、いうことでちょっと寝てる祐くんにキスしちゃお。好きな人とのキスって何回しても嬉しいし飽きないよね。前は祐くんがしようとしてくれたし私がしてもいいよね」


 えっ? 葵何しようとしてるの? 前に俺がしようとしたってあれもう忘れてくれ!


 どうしようどうしよう。ここは起きてるって言ったほうがいいんだろうか。


 葵の顔が近づいてくるのが分かる。このままされてもそりゃ嬉しいし、いいけど前も言った通りこういうのは共有したい。


「あ、葵。俺、起きてるよ」


「ひぇっ!? ゆ、祐くん起きてたの!? うわーん祐くんにあんな恥ずかしいこと聞かれちゃったよぉ」


「ちょっ葵?」


 パニックになったのか葵は俺の横でゴロゴロ転げ回り出した。


「今のは忘れて祐くん! 恥ずかしいから!」


「いや、忘れないよ。あれが素直な気持ちだろ? 確かに手はまだ出せないけどキスしたいのは俺も同じだから」


「いいの? 私変な女の子って思わない?」


「絶対思わない。どんな葵でも受け入れる」


「なら、前以上にいろいろ言っちゃうけどいい?」


「何回でもこい」


「なら…チュッ」


 そのあとしばらくキスして寝た。

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