110話 髪乾かす

 大浴場から上がって服を着てコーヒー牛乳を一杯。この冷えたコーヒー牛乳がまじでうまい。温泉とかにあるコーヒー牛乳は最高すぎる。素晴らしい。特にビンっていうのがまた好ポイント。


 それを飲み終えたら、あの日本で有名な「ゆ」と書かれた暖簾の近くにあった椅子に座って女湯に入った葵たちを待つ。


 集合時間とかも決めてなかったし、気長に待っていよう。特に女の子は長いっていうしね。


「それにしても親父、気づいていたのかな。そんな素振り俺はしてないんだけどな」


「身体の方は大丈夫なのか?」


 そう聞かれれば


「俺はすこぶる健康だ。身体に悪いところはない」


 と答える。ある一部を除いて。まぁ、でも俺たちの夢を、約束を叶えるくらいにはもつだろう。


「そんなこと考えてもしょうがないか」


 俺は1度方をさすってそれ以降それを考えるのを辞めた。



「それにしても立派な造りだよなぁ」


 シャンデリアがあって絨毯があって大理石の床。


「おっ、こんなところに売店が」


 辺りを見渡していたら売店を見つけた。ちょっと行ってみようかなと立ち上がった瞬間


「祐くんお待たせっ!」


 後ろから葵に抱きつかれてしまった。そして振り返ったとき感じた。


「あれ、葵あんまり髪乾かしてない?」


 いつもさらさらのショートカットの葵がしっとりとした髪になっている。いつもと違うけどすごい良い。


「ごめんね。今、人多くてドライヤー使えなかったの。絶対祐くんもう外出て待ってるって思ったから待たせられないし…」


 すごい申し訳なさそうにしてる。そんなこと気にしなくていいのに。でも俺のこと考えてくれてるのは嬉しい。


「部屋にドライヤーあったし部屋に戻って乾かそう」


「そ、それならさ祐くんにお願いがあるんだけど」


「おう、売店にでも行ってみる?」


「そうじゃなくてね。部屋に戻ったら私の髪乾かして欲しいなって。良いかな?」


 さっき見つけた売店にでも行くのかと思った。髪を乾かすのって俺で良いのかと思ったけどいいらしい。


 それは明日行こうってことになった。


「祐くんに髪梳いてもらうの気持ちいい。あっちで乾かさなくてよかった」


「そう? ただ普通に髪乾かしてるだけなんだけど」


「すごい優しくていいの。好きな人にこうして貰うのって嬉しいんだよ。今度祐くんにもやってあげようか?」


 乾かすほど髪が長いかと言われればそんなに長くない。夏場なんて何もしなくてもすぐに乾いてしまうものなんだが。


「そのときはお願いしようかな」


 その魅力的なお誘いに勝てなかった。



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