79話 一抹の不安

今日は7月30日。葵の誕生日の前日。俺は前アクセサリーショップで見たペンダントを買いに行くために準備していた。このクソ暑い日にマスクをしてサングラスまでかける。不審者の出来上がりだ。


サプライズで渡したいから今日俺が買いに行くことは内緒。これは絶対にバレてはいけないミッション。そのためにこうやってマスクにサングラスまでかけたんだ。


準備が整った時、葵からメッセージが来た。


「今日も一緒に勉強していい?」


夏休みになってから俺たちは朝は部活をして午後はゆっくりお喋りしながら勉強。そして夜はカーブの試合を観るという最高の生活を送っていた。


四六時中葵といる生活。はっきり言って最高だ。


でも今日は「ごめん、午後から用事があるんだ」と返信した。けっこう辛い。葵に喜んで貰うためだけどこうやって葵と一緒にいる機会を失うのは。


ただそんな気持ちを振り切って俺は家を出た。もちろんマスクとサングラスは家を出て5分もすれば外した。たぶんする必要はなかった。



◆◆◆



「今日も祐くんと一緒に勉強しよっと」


私はいつものように祐くんにメッセージを送った。最近はいつでも一緒にいる。一緒に勉強して、カープの応援して。この4、5日はそんな私にとって至高の生活を送っていた。


勉強してる時も本気モードって感じじゃなくてまったりお家デートみたいな感じ。いや、もう同棲してるって感じなのかな?


ピコンとスマホの通知音が鳴った。返信者は祐くんでなんとまさかの今日は午後から用事があるという内容だった。とてもショック。でも仕方ないと思う。今日の部活の帰り道では言ってなかったけど祐くんにも用事はある。


一緒いたいのは変わらないけど祐くんに用事があるのを私が邪魔していいわけじゃない。わがままを言って祐くんを困らせるのは嫌だもん。


夜、カーブの試合は一緒に観れるかな。そのあと今日は一緒に寝てくれるかな。


最近私が一緒に寝たいって言うと2日に一回くらい良いよって言ってくれる。なんでも私が居るとドキドキしてちゃんと寝られないかららしい。それは私もだよって言ったら「なら週1回くらいにしよう」とか言われるかもしれなかったから黙っておいた。これはわがままとかじゃないよね?


ただ布団は別々。本当は同じ布団がいいのに。


暇になった私は机にアルバムを開いた。小学生の頃の写真と祐くんと再開してからの写真がある。中学生の時の祐くんってどんな感じだったんだろう。今度祐くんに見せて貰おっと。


と、ちょうど私が窓の外を眺めた時祐くんの家から誰かが出てくるのが見えた。マスクにサングラスまでしたる。でもすぐに祐くんだと分かった。私が好きな人を見間違えるなんてありえない。


「祐くんあんな格好でどこ行くんだろう?」


用事があるって言ってた。でもあんな隠れるように行くなんて...


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