第66話 未踏のダンジョン3
私達は低級魔族を倒して先に進みます。
「この部屋には他に魔物がいませんね」
「はい、魔族を恐れたか、魔族に食べられたのでしょうか?」
「魔族が魔物を食べるのですか?」
「はい、魔物を取り込むことでレベルアップする事があると言われています」
「う~ん、絵図らを想像したくないですねぇ」
私は魔物図鑑の絵を想像してフレニちゃんを見ます。
「あらフレニちゃん、体調が悪いのですか?」
「はい。ちょっと頭が重いのです」
「マリちゃん、フレニはレベルアップ酔いだろうね」
「ふ~ん、低級魔族を倒したから急激にレベルアップしたのでしょうね。フレニちゃんを【状態異常回復】!」
ホワワワワァァァンッ!
「はあぁぁ、気持ちいいですぅ!」
「頭の重いのは取れましたか?」
「スッキリしました。前よりも五感が冴え渡っている感じが致します」
「良かったですね」
「はい、有難う御座います。……マリエル様、魔族が魔物を食べる絵を魔物図鑑に描きましょうか?」
「う~ん、グロく成らないようにデフォルメ出来るなら書いて貰いましょうか? でも実際の現場を見てから考えましょうね」
「はい」
先に進むと枝道にぶつかりました。
「どちらにしましょうか?」
「そうですねぇ……」
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……
その時、髭面男のパーティが後ろから追い付いてきました。
「おっ、お譲ちゃん達、もうここまで来ていたのか。じゃあここで別の道を選べば、この先はかち合わなくてすむかなぁ……」
「お兄さん達はどちらへ行くのですか? 私達はお兄さん達が選んだ道と違う方に行きますね」
「おっ、そうかい? それは悪いなぁ、じゃあ俺達は左の方へ生かせて貰おうかな」
「はい、それでは私達は右の道にいきますね」
「了解了解、それじゃあ、頑張ってな~!」
「は~い、行ってらっしゃ~い」
「それでっと……スズちゃん、この先はどうなっているの?」
「はい、御姉様。どちらもいずれ階下に降りる階段に行き着きます。行き止まりに成ってる訳では有りません」
「ありがとう」
「黒猫耳少女は、空間魔法の使い手なのですね。【レーダーマップ】と【探索】スキルを持ってるのかしら?」
「サッチャン、詮索するのは良いですけど声に出して言わないで下さいね。希少な上級魔法使いは狙われますから」
「はい。御免なさい、スズ様」
「……いいえ、どういたしまして」
「皆さんもパーティメンバーのスキルに付いては、
「「「は~い」」」
「マリちゃんが1番気を付けないとねぇ」
「ウグッ、これでも気を付けてるのっ!」
又、部屋の様な空間が見えて来ました。
エリシャナが先頭で部屋の中の様子を伺います。
「スライムが6匹います。他に魔物はいません」
「分かりました。それでは各個撃破でお願い致します」
「「「はい」」」
エリザとエリシャナは槍でスライムの核を突き1匹ずつ倒しました。
私はスリングでスライムの核を打ち抜いて、スズちゃんは短弓でスライムの核を打ち抜いて倒します。
「スライムの核に【火弾】ファイヤーボール!」
ボワッ、ドォォォンッ!
サッチャンは火属性魔法でスライムを倒しました。
残ったスライムは1匹です、皆がケンちゃんを見詰めました。
「そんなに注目されると緊張しちゃうなぁ」
ケンちゃんは、ペッコ、ペッコ、ペッコ……と、スライムに近づいて爪を剥き出します。
「喰らえぇぇぇっ、俺様のアイアンクロォォォッ!」
ケンちゃんは、爪を1本だけスライムの核にチョンと突き立てました。
ズブッ、ブッシュゥゥゥッ!
ケンちゃんはスライムを倒しました。
「はぁ……、皆さん一撃でスライムを倒せましたね、良く出来ました。若干1名不真面目でしたが、真似しないで下さいね」
「「「は~い」」」
「フレニちゃん、今見た様にスライムは核が弱点ですから、それを図鑑に
「はい、畏まりました」
それ以降も、1階にはスライムしか出現しませんでした。
やがて2階に下りる階段が見えてきました。反対側にも道が有りますが、スズちゃんによれば髭面男パーティと分かれたさっきの二股に続いていると言う事です。
「皆さん、これから2階に降りますけど健康状態は大丈夫ですか?」
「「「大丈夫で~す」」」
私達は2階へと階段を降りていきます。
2階にもスライムが出現して、その他には大ネズミと大サソリが現われました。
大ネズミと大サソリは、魔物なので中型犬ぐらいの大きさです。
エリザとエリシャナが槍で戦い、サッチャンが【火弾】ファイヤーボールを撃ち込みます。
「エイッ!」
「ヤアァァァッ!」
ボワッ、ドォォォンッ!
スライム同様に、それぞれ一撃で倒す事が出来ました。
「御苦労様、良く出来ました。まだまだ余裕がありますね」
「マリちゃん、5階にあると言われるボス部屋まで、たぶん今日中に行けると思うよ」
「そうね、エリザとエリシャナとサッチャンでボスも倒せるでしょうね」
「サクサク先に進んでボスを倒して、又ダンジョンに入り直そうか?」
「う~ん、それでもいいけど。とりあえずボスを倒してから考えましょう」
「オッケー」
3階はジャイアントトードとコボルトが出現しました。
4階はゾンビとスケルトンが出現しました。
5階はゴブリンとオークが出現しました。
私達は5階まで殆どの魔物を一撃で倒して、何の不安も感じずにボス部屋らしき扉の前に辿り着きました。
「エリザとエリシャナは良く訓練してるのですね。正確に槍を急所に突いてますもの」
「お褒め頂き光栄です」
「御嬢様から頂いたミスリル製の武器は、死霊系の魔物にも有効なので大きなダメージを与えているようです」
「サッチャンも魔法が的確に撃てるのですね」
「はい、アストリア魔法学院の実習でダンジョンは経験済みです」
「それではボス部屋に入る前に、体力と魔力と健康状態を再確認して下さいね」
「「「はい」」」
私達は誰も居ない5階最奥のボス部屋らしき空間にパーティ全員で入ります。
ガラ~ンとした部屋の中央近くに進むと、勝手に扉が閉まりました。
ギギギギィィィッ、バタンッ!
中央に魔方陣が浮かび上がり魔物が現われます。
ズズズズズゥゥゥゥゥゥンッ!
5階のボス部屋にハイオークが出現しました。
「エイッ!」
「ヤアァァァッ!」
ボワッ、ドォォォンッ!
ここまでと同様にそれぞれがハイオークに対して一撃を繰り出しました。
『プギャアアアァァァッ!』
5階のボス部屋のハイオークを難なく倒しました。
「皆さん、お疲れ様でしたぁ!」
「「「おつかれさまでしたぁ!」」」
又、レベルアップ酔いに成ってしまったフレニちゃんに【状態異常回復】の魔法を掛けてあげます。
ホワワワワァァァンッ!
「はぁ、やっぱり気持ちいいですぅ! マリエル様、度々、有難う御座います」
「いいえ、遠慮しないで結構ですよ。体調が悪くなったらスグに言って下さいね」
「はい」
「とりあえず、今日はこれで帰りましょう。改めて、次のボスがいる10階まで行く準備を整えてから、又来ましょうね」
「「「は~い」」」
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