294 鑑定会


「お待ちしていました。他の鑑定人も揃っていますので、宝物庫にお願いします」


 アヴァロンさんに改めて宝物庫に案内された。


「他の鑑定人の方は身元の確認などで時間がかかってしまいましたが、秘密厳守を魔法契約で縛っていますので、口外の心配はありません。巫女殿も口外しないでくださいね」


 魔法契約で縛るって、そんな魔法あったっけか?ああ、奴隷契約の亜種か。あってもおかしくはないか。


「探索者ギルドでも募集していたようですが、、、」


「ああ、一応募集をかけましたが、信用できる人が応募してこなかったので全員断りました。今回鑑定に参加するのは全員公務員です」


「探索者ギルドに募集を出す意味はあったんですか?」


「ええ、一応探索者にもチャンスがあると言う所を見せておきませんと。実際に雇うことは滅多にないんですけどね」


 世知辛い世の中だ。

 でも、まあ探索者ギルドの信頼性からしたら当然か。冒険者ギルドと違って結構いい加減な感じだしね。



「それでは巫女殿に鑑定していただきたいのはこちらの品です。剣が3点、盾が1点、何やらわからない物が4点です」


「わからない物とは?」


「昔から伝わる品などで、いつの間にか宝物庫にあった物です。入庫の記録がないので、おそらく建国の時期まで遡ると思われます」


 なるほど。そこまで遡れば知らないものもあるわな。場合によってはしょうもない物の可能性もあるが。


「分かりました。剣から行きましょうか」



『花鳥の剣 魔力を込めて剣を振るうと鳥が羽ばたく音がする』


『風月の剣 魔力を込めて剣を振るうとポチャンと滴の音がする』


『芋虫の剣 一定以上の衝撃を受けると曲がる』


『俊足の剣 踏み込みが早くなる』


 最後のだけなんとか使える感じだな。他のはゴミだ。と言うかネタ枠だな。



『鳳凰の盾』


 おお、なんか凄そうだぞ。


『鳳凰の盾 攻撃を受け止めると羽が飛び散るようなエフェクトがかかる』


 エフェクトって。ただの幻覚だよね?



『魔石充電器』


 お、使い切った魔石を再充電出来るのかな?


『魔石充電器 魔石を充電できる 素材:魔石』


 魔石を使って魔石を充電する?それって意味あるのか?



『光通信』


 おお、まさかの高速通信!


『光通信 光を反射して特定の合図を送る』


 うん?なんか変だぞ。


『光通信 光を反射して特定の合図を送る ただし合図は一種類のみ』


 一種類の合図しか出来ないとか。狼煙でも数種類の意味を持たせれるぞ。



『削岩機』


 おお、これは鉱山で使えば役に立つ!


『削岩機 30センチ以下の石を砕ける』


 うん?30センチ以下?


『削岩機 30センチ以下の石を砕ける 使用回数のこり3回』


 岩じゃなくて石って言ってる時点でダメだろう。しかも回数制限ありかよ!



『鑑定スクロール』


 おお、今度こそ便利そうなアイテムがきた。鑑定のスキルを覚えれるのかな?それとも使うと鑑定出来るのかな?


 ん?ちょっとスペルが違うことないか?


『官邸スクロール 今の王様の名前が表示される 対となる王笏を持った者が王と認められる』


「アヴァロンさん、王笏と言う物は宝物庫にありますか?」


「王笏ですか、それらしい物と言えばこれくらいですが」



『官邸の王笏 王様ゲームの当たりくじ』


 使えねー。完全にねたじゃねえか!



「あまり有益な宝物はなかったですね。と言うかなんでこんなのが宝物庫にあったんでしょうか」


 俺の方が聞きたいよ。こんなの鑑定した自分が馬鹿みたいじゃないか。




「アヴァロン様!こちらの宝物をご覧ください!鑑定のルーペです!このガラス越しにアイテムを見ると簡易の鑑定が出来るようです!」


 あっちはいいなー。なんか宝物らしい宝物があるっぽい。


「アヴァロン様!こっちもみてください!爆破のスクロールです!これを使えば一度だけ爆破の魔法が使えるようです!」


 おお、ダイナマイトみたいなもんだな。一回だけなのがネックだけど、研究して複製できれば結構役に立つんじゃないか。


「アヴァロン様!これはどうでしょう?!スケスケパンツです!女性ものの様です!」


 いや、なんで女性もののパンツが宝物庫にあるの?しかもスケスケパンツって見たらわかるじゃん。鑑定の必要あったの?


「ううん、これは宝物庫に相応しくありませんな。私が預かっておきましょう」


 アヴァロンさん!スケスケパンツ使うの?!あんた男でしょう?!それとも誰かに履かせるの?!


「アヴァロン様!」


「アヴァロン様!」





 まあ、使える使えないはともかくとして、一応全部鑑定は出来た様だ。スケスケパンツだけは何であったのかさっぱりわからん。


「ご苦労様です。報酬は給料に上乗せして支給されますので、今月の給料を楽しみにしていてください」


「おおー!」


 給料に上乗せね。それにも税金かかったりしないよね?

 あ、アヴァロンさん、なんで目を背けるんですか?給料じゃなくって報酬なんだから税金かからないですよね?


「んん。巫女殿の報酬には、税金はかかりませんのでご安心ください」


 かわいそうに税金かかるんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る