198 アリス殿下
フレイアでギルドに報告すると、死体の確認をされた。ギルドカードと財布も渡した。
「ご苦労様でした。何に倒されたかはわかりますか?」
「いいえ、狼の傷跡がありますが、戦っているときの傷か、死んだ後の傷か、俺には判断がつきません」
「そうですね。こちらで調べてみます。死体の鑑定はこちらで行い、王都に報告を上げます。それと財布の中身は発見者のものですので、このままお持ちください。ギルドカードだけ回収させていただきます。
依頼は王都ですので、この書類を持って王都でも報告してください。報酬だけならこちらでも受け取れますがどうしますか?」
「報酬は王都で結構です。俺は寝不足なので、宿で休ませてもらいます」
「ご苦労様でした」
俺はマリアが止まっている宿で2日ほど休むと体力が戻ってきた。
その間はマリアが嬉しそうに、宿の厨房を借りて料理してくれた。別に宿の食事でもよかったんだよ?
どうやら久しぶりに俺の世話ができて嬉しかったらしい。まあ喜んでやってるから止めはしないんだけどね。
王都への馬車が出るのはまだ先のようなので、俺たちは歩いて帰ることにした。王都にも拠点作らないと面倒だな。
王都に到着すると、ギルドで報告した。
「そうかー死亡が確定しちゃったね。Sランクで満足していればいいのに、なんで魔の森なんかに挑んだのやら」
「依頼じゃなかったんですか?」
「うん?そんな奥地の依頼なんてないよ。せいぜい入り口付近だね。
それ以上中になると、どんな所か確認されてないから、依頼自体できないさ。
あるかどうか分からないものを依頼できないからね」
「じゃあ、依頼は完了ということで。報酬の金貨50枚だよ。Sランクの財布はどうだった?」
そういえば確認してなかった。
「えっと、白金貨3枚と大金貨が3枚ほどでしょうか」
「おお、結構あったね。Sランクの資産は侮れないね。死んじゃったらどうしようもないけどね。それと死体が持っていた装備の売却代金も後で渡すから受け取っておいてね。ギルドの手数料は引いておくから」
結構立派な装備だったからそれなりの金額になるだろう。でも壊れてたからそれほどでもないのかな?
マリアと一緒に王宮に戻ると、陛下が呼んでいるそうだ。
「陛下におきましては、、、」
「それはもういいと言っただろう。座れ」
王様ともなるとこんなやりとりは飽きてるんだろうね。
「それで魔の森はどうだった?何か変わったことはあったか?」
「そうですね、ゴブリンの集落があったくらいでしょうか。300体ほどでしたか。殲滅しましたが」
「流石だな。
それで、メアリーのことだが、リリアーナ嬢と一緒にあと1週間ほどで戻ってくるそうだ。それまでは王宮でくつろいで行くといい。
ああ、そうだ。王太子がお主の話を聞きたいと言っておったぞ。以前ドラゴンの話をした時に気に入ったらしくてな。冒険の話とか聞かせてやってくれるとありがたい」
「かしこまりました」
王太子との話はお茶を飲みながら、という事で、中庭の東屋で冒険の話をした。この時初めて王太子の名前を聞いた。リクというらしい。途中で第2王女も加わり、お茶を楽しんだ。
第2王女、アリス様は結婚運びのことを聞きたかったようだ。多少脚色して話してあげると、興味津々といった感じで聞いていた。
「アリス殿下は結婚運びに興味がおありですか?」
「はい。王宮でも噂になりましたから。あれから、求婚する男性は大変らしいですわ。女性を抱えて運ぶのは結構力が入りますからね。必ずしも軽いとも限りませんし」
「殿下もされてみたいですか?」
「もちろんですわ!というか、やってくれない殿方には嫁ぐ気はありませんわ!」
そこまでの事だろうか?ちょっと抱っこして王宮を練りあるけばすむと思うだが。ん、王族は政略結婚が当たり前なんだっけか。相手の男もかわいそうに。殿下は軽そうだが。
「リク殿下も結婚運びはされるのですか?」
「今の流れですと、しないと納得されないでしょうね。これからもこの風潮が続くのかは知りませんが。
私は婚約者が既にいますので、結婚運びは結婚式だけで済みそうですね」
思いつきでやったのに、かなり文化に影響を与えてしまったようだ。
「最近は庶民の間でも結婚運びが流行しているそうですわ。今までは二人で教会に行って誓い合って終わりだったのが、人を集めて結婚運びをわざわざ見せるのだとか。貴族のように披露宴をするわけではありませんが、式自体は華やかになったようですわね」
庶民にも影響が出てるのか。商人街とかも練り歩いたしな。
アリス殿下は15歳らしい。多感な年頃だ。余計に興味が湧くだろう。
どれ、一つネタを提供しておこうか。
「街を結婚運びで回ったとも大変でした。プロポーズではなく、結婚式じゃないかと言われて、その日の晩は初夜だと。私は奥手ですので、その日は手を出せませんでしたが、リリアーナ様には恥をかかせてしまいましたね」
かなり脚色しているが構わないだろう。
「え、しょ、初夜ですか。そ、そうですね。結婚ですものね」
15歳には刺激が強すぎたらしい。
まあ、リリアが帰ってくるまでの暇つぶしだ。ネタの反応を見ているだけでも暇つぶしになるだろう。
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