195 Sランク復活
「おお、ジン、よく帰って来た。一年も帰らなかったので、死んだと思っていたぞ。ベスク王国から生存の知らせを聞いたときは驚いたぞ。さらに帰ってくる途中に船から振り落とされたと聞いたときは今度こそダメかと思ったぞ」
俺は一応跪いている。
「陛下におきましては、ご心配をおかけして、、、」
「良い良い。そこに座れ。去年いなくなってからの事を聞かせてくれ」
「はあ、実は一年ほど、北の山脈をさまよってまして、場所が分かってロービスに<転移>したのが数ヶ月前です。死んだ事になっているのを聞いて、此れ幸いと旅に出ました。王都を出れば俺の顔をしているものも減りますし。
それからはヤパンニ王国、ベスク王国、イングリッド教国と周り、ヤパンニ王国に向かう船で海に流されました。この辺はご存知の通りです。
その後は海流に流され、たどり着いたのはアズール帝国の東の端です。帝都まで歩いてからロービスに<転移>で戻ってきました」
「なるほど、波乱万丈だな。まあ、Sランク冒険者がそう簡単には死んでおらんと信じておったぞ。メアリーが旅に出たのを聞いて確信を持ったな。だが、証拠もなしに生き返ったとは言えなんでな」
良く言う。半年で死亡認定したのは忘れてませんよ?
「それで、今後の旅のためにも生存している事は内密に、、、」
「それは無理だな。すでに冒険者ギルドが把握しておる。Sランク登録も復活するだろう。高ランクの依頼もたまっているだろうしな」
「そうですか。。。」
まだしばらく自由に過ごせると思っていたのに、ダメらしい。
そう言えば、セルジュ様の事はどうなったのだろう?俺のこと<神託>されてないよな?
「失礼します。冒険者ギルドのギルドマスターがジン殿に面会を求めております」
「噂をすれば、だな。いってこい。わしの話は後でも出来る」
「では、失礼します」
ギルドマスターのゴルドさんは相変わらず飄々としていた。
「やあ、元気だったかい?いや、国から死んだと聞いたときはまさかと思ったよ。
君なら生きてると信じてたよ。
でも、各国でギルドカードを作るのは感心しないかな?ヤパンニ王国とイングリッド教国のギルドから報告が上がってるよ。
まあ、事情はわかってるから追求はしないけど、今度からはやめてもらえるかな?それと既に発行したカードは返してね。廃棄しておくから」
俺は素直にカードを2枚渡した。
「そうそう、Sランクの復元もしないといけないから、そっちのカードも貸してくれないかな。明日にでも取りに来てくれたら渡せるようにしておくよ。ついでに依頼を受けてもらえると嬉しいかな」
「もう一人のSランクはどうしたんですか?」
「ああ、あの子ね。無謀にも魔の森に挑んでね。パーティメンバーが一人だけ帰って来たよ。その子も1週間ほど寝込んで死んじゃったけどね」
俺に挑んで来なかったと思ったら、魔の森に挑んでいたのか。無謀な。
「じゃあ、明日ギルドで待ってるよ」
ゴルドさんはさっさと帰ってしまった。これは依頼を受けるしかないのか?
夕食は陛下とともにし、食後のお茶に招かれた。
「それで、パーティに聖女様がいると聞いたんだが、どういう事かな?」
「なんでも神託が降ったとか。俺には良く分かりませんが。。。」
「神託か。なら仕方ないな。。。とでも言うと思ったか?どんな手を使った?今まで聖女様は一度も国を出たことがない。それが国を出るなんてよほどの事があったのだろう」
「ですから、神託だそうです。詳しい事は、聖女様に直接お聞きください」
「そうさせてもらおう。とりあえずはSランク復帰おめでとう、だ」
「ありがとうございます?」
「まあ、そう焦る事もあるまい。どうせ一月は何もする事もないのだろう?ゆっくりするといい」
俺は陛下から解放された後、マリアに改めて獣人国のことを秘密にするように言いつけた。獣人国の実在と奴隷狩りが発覚したら大騒ぎになるからね。俺の知らないところでバレるならともかく、俺が巻き込まれるのはごめんだ。
翌日、冒険者ギルドに向かった。
「ジンさん、よくご無事で。またお会いできて嬉しいです」
アイリスさんだ。
「ただいまです。ギルドカードは出来てますか?」
「はい、こちらです。依頼を受けられますか?
と言うか、ギルドマスターから受けてもらうように指示が来ています。ギルドマスターからはお会いしたいと言われたいますが、今からよろしいですか?」
「はあ、依頼がたまってると聞いてますしね。とりあえずゴルドさんには会いましょう」
「やあ、昨日ぶりだね。よく来てくれた。ギルドカードは受け取ったかい?これからもSランクとして活躍してくれると嬉しいな。
それで依頼なんだけど、、、」
「それなんですが、急ぎですか?」
「いや、急ぎじゃないけど?」
「それなら少しゆっくりしてからにしたいのですが」
「そう言う事なら構わないよ。体力が回復したら受けてもらえると嬉しいかな。急ぎはしないけど、依頼はたくさんあるからね。もう一人のSランクが生きてれば、もっと自由にしていてもらえたんだけどね」
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