182 戦王
「それで、大事な質問があるんですが、他の大陸に関して何か知りませんか?教国には昔の資料が残っていると聞いたんですが」
「そうですね、残っています。ただ、具体的な話が残っているかどうかは、ちょっとわかりません。神殿の図書室を開けましょう。そこで調べるのが早いかと」
「お願いします」
俺たちは全員で図書室に向かった。人海戦術で片っ端から大陸に関する資料を探す。俺はこっそり、使ったことのない魔法の本がないかも探していた。
あった、<神聖魔法>に関する本だ。俺は<神聖魔法>が仕えるが、自分でなんとなくでイメージしているので、正しい使い方がわからないのだ。セルジュ様に聞くのも手だが、俺が使えるって知らないからね。わざわざ教えることもない。
マリアが腕を火傷した時に<神聖魔法>を使ったが、馬車の中でやったし、マリアは話さないだろうから、大丈夫だ。
他の大陸に関しては、この大陸の西側に魔族の大陸、東側に獣人の大陸があるらしい。
現在は国交がなく、少なくとも1000年は船の行き来すらもなかったらしい。
どうやら、自前で船を誂える必要があるようだ。でも流石にそこまでお金はないな。作ってはい終わりってわけにも行かないしな。乗組員も多分集まらないだろうし。
「他の大陸に興味があるのですか?」
「ええ、できれば一度この目で見てみたくて。何故戦争をしていたのか、何故戦争が終わったのか、獣人とはなんなのか、魔族とは?など知りたいことはたくさんあります」
「勉強家ですのね。魔族に関しては伝承があります。
そのもの、巨人のごとく大きく、顔は獣のように雄々しい。勇ましく戦い、勝利をつかんでいく。そのもの、戦いを楽しみ、戦うことを好む。自らの名を戦王と名乗る。
こんな感じでしょうか。他に王がいるような文も散見されますし、複数の王がいるのは間違いないようです。1000年以上前の話ですので、もう亡くなられているでしょうけど。王国もまだ残っているかはわかりませんし」
「戦争を好む魔族ですか、それは遠慮したいですね」
俺たちは本の知識をセルジュ様に集中させ、セルジュ様に聞く方法を取ることにした。
「戦争に関しては何かわかりますか?それが、その戦王が襲ってきたのかと思ったのですが、違うようなのです。魔王を名乗る魔族が攻めてきたのですが、それを戦王というものが殲滅し、魔界へ帰ったと言います。魔界でも何かあったんでしょうね。私たちには知りようもない事ですが。
なので、戦王は実は人間の味方なんじゃないかという説を唱える人もいます。窓際に追いやられたそうですが」
「戦争に関しては何かありますか?」
「戦争はどこからともなく魔族が現れたとありますが、教国の古文書には、戦争の後は、この国の海岸から去っていったとあります。そのため、魔族への抑えとして、イングリッド教国が作られたと。
女神様の<神託>で人間は助けられたのもあって、イングリッド教は世界に広まりました。それまでは宗教として存在していましたが、国は持っていませんでした。魔族の件があってから、国を興そうとなったのです」
「獣人に関しては?」
「獣人に関してはわかりません。東に移動したとありますが、教国ができる前まで戻らないと話が出てこなくて。特に戦争をしていたわけじゃないようですが。。。」
「この国では獣人を奴隷として代々飼っていると聞きましたが、違うのですか?」
「少なくとも私は知りません。そんな事をしていたら大問題です。それにこの国に獣人がいるという事自体初めて知りました」
「そうですか。他の国では常識みたいですよ?教国が獣人を奴隷にしてるってのは」
「それは由々しき自体です。原因を究明せねば。」
「セルジュ様は調べてる暇はありませんよ。私たちは旅に出るんですから」
「それもそうでした。教皇様に伝えておきましょう」
結局大したことはわからなかったが、この国の場所から出ていったのなら、西か東にあるのは確かだろう。それと戦王だっけ?会いたくないね。
あ、そうそう確認しておかないと。
「セルジュ様、教国として、魔族や獣人族への対応はどういう方針なんでしょうか?」
「特に決まっておりません。なにせ、建国前の話ですので。公式発表はありません。
ただ、魔族にはいい印象は持っていません。また、獣人族も人間と認めてない者もおります」
特に扱いは変わらないと。魔族だと戦争になるかもね。戦王さんがいい人だったらいいんだけどね。
それにしても、教国に奴隷がいると言ったのは誰なんだろうか?結構広がってるようだから、事実だと思っていたんだが。
まあ、今はいいか。教国に来て、散々な目にあったから、楽しい場所でも探そうかな。
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