038
「今日はこの依頼を受けようか」
「調査依頼ですか。Cランク依頼にあるのは珍しいですね」
洞窟の調査。Cランク以上。基本銀貨5枚。結果に応じて追加報酬あり。
通常簡単な調査はDやEランクがするし、厄介なのはBランクが行う。
Cランクは中途半端で調査に向かないのだ。
キャシーさんに聞くと、最初はDランクのパーティーが向かったのだが、ジャイアントバットが大量にいて、逃げ帰ってきたらしい。
ジャイアントバット単体ではEランクだが、群れるのでCランクを推奨されている。
なので、Cランクの依頼になったらしい。
「それで、洞窟の何を調べるんでしょうか?」
「その洞窟がダンジョン化している可能性があるのです。
近くで魔物の出現率が上がっており、北のオークが増えているのもそのせいだと考えています。
なので、洞窟がダンジョン化しているのかと、どの位の危険度なのかを見てきて欲しいのです」
「つまり、ジャイアントバットを含めて倒して、行けるところまで行って、どんな魔物がいたかを報告すれば良いということでしょうか?」
「その通りです。
それ以上無理だと思ったら、その理由と一緒に報告していただければ、より高ランクの依頼として出しなおします。
ジンさんなら、ダンジョンだったとしても攻略してしまいそうですね」
勝てそうにない相手なら逃げ帰っても良いと。
「中断した時の報酬はどうなりますか?」
「中断した場所や出てきた魔物などによって変わりますが、前のDランク冒険者のように、最初の敵で帰ってきたりしなければ、基本料金は支払われます」
「なるほど、ではこの依頼、受けます」
「ありがとうございます。
危険だと思ったら、引き返してくださいね。
この依頼は失敗へのペナルティはありませんので」
俺たちはダンジョンを前提として、必要な道具、ロープやランタン、光石などを準備する。
光石は曲がり角に置いて、戻る時の道しるべにするものだ。
複数のパーティが潜っている場合は、別のパーティのとごっちゃになるので、使われないが、今回は自分たちだけなので用意した。
洞窟の場所は北の森の中でも奥の方で、オーガなども見かける場所だ。
場所の地図はもらったので、その通り進むと、途中でオーガ3体に出会った。
やはり、奥の方は強い魔物が出るようだ。
しかし、<水魔法>との連携は有効で、怪我すらせずに完勝した。
実は最近、肉はまずいが皮は初級冒険者の皮鎧などに使われるということを知ったので、剥ぎ取ることにしている。
剥ぎ取りは二人に任せて、俺は周囲の警戒と、地図を見て首を傾げていた。
地図にある場所は一度行ったことがあるのだ。
魔法がある程度制御できるようになった後、試し打ちに来たのだ。
その時には洞窟なんてなかったはず。
もちろん、少し離れたところにある可能性もあるのだが。
俺たちはそのまま地図に従って進み、洞窟の印の付いている場所まで来た。
確かに洞窟の穴が空いている。
高さは2メートルくらい。横幅は3メートルくらいだ。
中もこの高さなら、剣を振るのも大変だろう。
とりあえず、最初に遭遇するのがジャイアントバットだと分かっているので、網を用意した。
洞窟の出入り口付近に網を設置し、奥の方に松明を数本と煙玉を放り込んだ。
この煙玉には魔物が嫌う成分を混ぜてあり、燃やすことで薬効を発揮する。
しばらくすると、中からバットが大量に飛び出してくる。
網が壊れそうなほどだ。
一通りジャイアントバットが出てきたところで、網を閉じ、少し離れたところに開けておいた穴に放り込む。
そして、上から油をかけ、松明で火をつけた。
網の中でジャイアントバットは焼け死んでいく。
この場合、誰に経験値が入るのだろうか?
いや、どうでもいいか。
「じゃぁ、二人とも、ここからは何も分かっていない場所だ。
気をぬくんじゃないぞ」
「「はい!」」
ランタンをかざしながら洞窟に入ると、5メートル位で天井が高くなった。
4メートルくらいある。これなら剣を振り回すのに問題ない。
俺が<魔力感知>を使うと、そこかしこから反応がある。
感じたことのない魔力もあるので、知らない魔物だろう。
まずは最初の分かれ道を右に曲がった。
10メートルほどで行き止まりになり、ゴブリンが5体いた。
クレアが速攻で飛び出してゴブリンを蹂躙する。
そういえば、クレアも随分強くなったよな。帰ったら<ステータス>を確認しないと。
特に金目のものがあるわけでもないので、道を戻った。
次の分かれ道は左だ。
やはり10メートルほどあり、奥にはゴブリンが3体いた。
クレアが速攻で殲滅した。
戻って、本道を歩き出すが、このダンジョン、ゴブリン専用じゃないだろうな。
<魔力感知>では知らない魔物がいるはずなので、大丈夫とは思うが、最初の2部屋がこれでは疑われても仕方ない。
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