第73話 お昼寝デート その4
春真はなぜか伶愛のベッドの上で膝枕をされていた。横を向いているため、頬に感じる温かくて柔らかな伶愛の太もも。目の前には際どいショートパンツと彼女のお腹。少し上には胸の膨らみ。そして、彼の頭は優しく撫でられている。
強烈なあまい香りに包まれ、春真の頭はボーっとしている。
「あの・・・伶愛さん? なぜこんなことになったのでしょうか? 恥ずかしがっていた伶愛さんが急にベッドを指さして、無言で強制的にこのような状態になったのですが?」
「先輩が膝枕をお願いしたからです」
「確かに今日お願いしていましたが・・・。向きを変えてもいいでしょうか?」
「ダメで~す。許しません!」
楽しそうな声で伶愛が彼の申し出を拒否する。彼女は優しく頭を撫で続ける。
「なんで!?」
「先輩にも味わってもらおうかと」
「なにを!?」
「恥ずかしさや刺激、でしょうか? ほらほら、触らなくていいんですか? お触り自由ですよ」
伶愛が春真の腕を勝手に動かし、手のひらを自分の太ももに誘導する。
春真も男だ。無意識に、吸い付くような感触の太ももを撫でまわす。
「先輩も男ですねぇ」
「こ、これは体が勝手に!」
「いいんですよ。今月は私の身体を自由にしていいので。私も何でもしますよ。頑張りますから!」
「・・・・もう少しこのままで」
「了解です!」
少し刺激的で穏やかな時間が過ぎていく。
伶愛は慈愛に満ちた表情で春真の頭を撫でている。春真も緊張や恥ずかしさがなくなっていき、リラックスした表情だ。
静かな空間に春真の声が響き渡る。
「・・・伶愛は恥ずかしくないのか?」
春真は彼女の太ももを撫でたり揉んだりして、こういう事が恥ずかしくないのかと聞いてみた。
「う~ん。する前は恥ずかしかったですけど、先輩に膝枕したり、触ってもらうと、幸せのほうが圧倒的に大きいですね。時々先輩が私の太ももに顔をこすりつけてきて、子供みたいで可愛いです」
「うっ!」
「先輩が甘えてきてくれて嬉しいです。それに、私に興味を持ってくれてるなぁ、と感じます。先輩、一回も触るのを止めませんからね」
春真はピクッと一瞬手を止めるが、すぐに伶愛の太ももを軽く撫で始める。なぜか手が止まらないのだ。欲望に負けて彼女の太ももを堪能する。
「ちょっとえっちぃ気分になってきました。今、前屈して先輩の顔に胸を押し付けようか悩んでるところです」
えっ、と春真が伶愛の顔を見上げる。彼女は穏やかに微笑んでいるだけだ。本当かどうかわからない。
「ふふふ。先輩の驚いたところも、そして、ちょっと期待しているところも可愛いです」
「う、うるさい! はい! もう終わり! 次にいくぞ!」
春真は名残惜しいが、勢いよく起き上がる。伶愛はクスクス笑っている。
「ふふふ。そろそろ時間もいいですね。お昼寝しましょう」
伶愛は春真の首に手をまわすと、二人一緒にベッドに倒れ込む。そして、もぞもぞと動き、春真の身体の上に寝そべる。春真はシーツを掴むと自分たちの体にかけた。
伶愛は彼の胸に顔をこすりつけている。やはり、子猫のようだ。
「やっぱり落ち着きます。ふぅ~~~」
伶愛がもぞもぞと動いて上ってくる。息と息が触れあう。伶愛は額と額をくっつけてきた。そして、鼻と鼻の先をチョンと触れ合わせる。
「これ、気に入ったのか?」
「はい。気に入っちゃいました」
お互いの息がかかってくすぐったい。今にも唇と唇が触れ合いそうだ。
伶愛が顔を離す。至近距離で二人は見つめ合い、伶愛がゆっくりと顔を近づけてきた。キスすると思われた瞬間、伶愛は方向転換する。彼女の顔がずれ、春真の頬に柔らかな感触が伝わってきた。初めての感触だ。
「おぉ・・やわら
ピトッと頬と頬をくっつけてスリスリしてくる。ふにふにとした感触が伝わってくる。
「ほっぺすりすりです~」
春真の顔に伶愛の柔らかな髪が鼻先をくすぐる。甘いシャンプーの香りがする。
伶愛がスリスリするのを止め、髪を耳にかける。そして、反対の頬に同じことをしてきた。
「反対もほっぺすりすり~」
柔らかな感触とあまい香りを堪能しながら、春真も軽く頬ずりする。
しばらく二人で頬をスリスリしていた。十分堪能した後、二人は顔を離し、再び至近距離で見つめ合う。
伶愛が春真の頬を指でつついてきた。頬を押したり引っ張ったりして遊びだす。
「先輩のほっぺ、柔らかいです」
両手で春真の頬を包み込んで、ぶちゅっと挟み込む。
「あはは! 先輩の顔が”ひょっとこ”みたいです」
そのまま、伶愛は春真の頬を弄繰り回す。春真もお返しに伶愛の頬をつつく。
「おぉ・・・もち肌だ」
もっちり柔らかな伶愛の頬は触っていて全く飽きない。癖になりそうだ。
頬を触って遊んでいると、だんだん二人の瞼が重くなってくる。二人はお互いの香りに包まれて、次第に睡魔が襲ってくる。伶愛が眠そうに瞼をこする。
「しぇんぱい・・・ねむいです」
「・・・寝るか」
春真が目を閉じる。しかし、伶愛が軽く揺さぶってくる。眠くて力が入らないのだ。
「しぇんぱい・・・おやすみのちゅー・・・わしゅれてます」
眠くてぼんやりしている春真は迷うことなく伶愛の唇に優しくキスをする。伶愛は眠そうにしながらも、嬉しそうに微笑んで、コテンと春真の横に倒れ込む。そして、春真の体に腕や脚を絡める。春真も伶愛のほうを向き、彼女の身体を抱き寄せる。二人はほとんど全身密着させている。
お互いの顔が至近距離にある二人は自然に唇を軽く触れ合わせる。
「「おやすみ(なさい)」」
お互いの温もりと心地よい香りに包まれながら、二人は仲良く眠りに落ちた。
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