―第八話―

二十五



―午前0時20分頃―


―異界―


それは、意外にもアッサリとした最期だった。

燃えさかり、業炎に埋もれていく巨大な悪魔ベルフェゴールを眼下に見遣みやり、


雄一「やっ…た…?」


疑問の言葉を口にする。


青い男「だろうな」


雄一「でも…」


疑問を口にする。

それは、最期にあの、巨大な悪魔ベルフェゴールが発した言葉の事だった。

何故居なくなったのか…

自分を否定するのか…

ヘブライ人の神の様に…

中世の女共の様に…

そして、最期に黒い男の述べた一言―

上位の存在なら乗り越えろ―

それが引っ掛かっていた。


雄一「何故あんな事を―…」


青い男「… さあなぁ― ただ…」


雄一「…何?」


青い男「後で説明してもらえるだろ 多分な」


それはアッサリとしたものだった。


雄一「あ…そう」


思っていた返答ではなかった。

それはそうか。

マンガやフィクションの世界ではない。

―起きている事はフィクション全開だが―

ぐ様説明してくれる事なんて無いか―…

知っているのか?! 雷電!

…は存在しないんだ…

往々おうおうにして事実とはそんなものなのか…

疑問が残ってしまった。


雄一「でも」


それでも、まだ自分の決断にあまり自信が無い。

でも、

今までとは変える

その気持ちは変わらない。

でも、今までの事をいきなりは変えられない。

怯えて逃げる自分を止めなきゃいけない

それが今なのだと

認識が出来た。

それは進歩だ。

そう、思う

その思いを抱きながら、光球は上昇していった。

でも―

ふと思い出す。

あの巨大な悪魔ベルフェゴールが自分に見せた態度―

何故か―

その気持ち―

解る様な気がした。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る