第12話 ティータイム みずほと敦 

みずほは読書をしながら、遅いお昼を食べていた。

詐欺メールも終わってしまったし、退屈をしていた。

みずほが読んでいる本はBL本だった。

「うーん。ここで攻めが受けをもっと感じさせないと、面白くないんだけど・・・下手だなこの作者。」

そこで来たのが、久々登場。向井 敦だ。

敦は、ゲイだ。

しかし、恋人がなかなかできない。

敦はみずほの席に座ると、話し始めた。

「・・・それ、BLでしょう?」

「うん?」

みずほが振り向く。

「昼間っからBL?あんた、欲求不満なんじゃないの?」

「私が昼休みを、どう過ごそうとあなたには関係ないじゃん。読書の邪魔だからあっち行って、しっしっ。」

「まあ!失礼ね!人を何だと思っているのよ。あんたが寂しそうだから、話に来てやったのにー!」

「別に寂しくなんかないわよ。私は好きに昼休みを過ごしているだけだから。」

「あんたなんか、嫌い!帰るわ私。」

敦が、立ち上がると・・・

何か黒いものが。

「ひっ!!」

「どうしたの?」

敦は、みずほの隣の席に移動した。

「何よ。帰るんじゃなかったの?」

「ゴゴゴゴゴゴ・・・・!!」

「ご?」

見ると、敦が座っていた席の足元に、一匹の黒いゴキブリがいた。

「何よ。ゴキブリじゃない?」

「・・・だめ!あたし、ゴキブリ無理・・・。」

「しょうがないわねー。あんたそれでも男なの?」

「男でもゴキブリは嫌いなの!!」

「はあ・・・」

みずほは頭が痛くなってきた。

「マスター新聞紙貸して!」

「あいよ。みずほちゃん。」

喫茶店のマスターが新聞紙を、みずほに渡す。

みずほはテーブルの下にかがむと、えいっとゴキブリをつぶしにかかった。

素早く逃げるゴキブリ。

敦の方にやってきた。

「いや!来ないで!いやあああ!」

敦は、半泣きで、他のテーブルに移る。

「この!なかなか、すばしっこいわねー。」

すると、マスターが、「ゴキブリを入り口付近まで追い詰めてくれ。」と話した。

ゴキブリはたまらず、入り口付近まで逃げた。

そこをマスターがすかさず、

『プシュー』

ゴキブリは、もがき苦しみだした。

「みずほちゃん、ありがとう。客商売なんで、むやみやたらに殺虫剤をかけることが出来なくてねー。」

そう言うとマスターは、もがいて苦しんでいるゴキブリを、チリ紙で取った。

そして、トイレにぽいっと捨てると、水に流した。

「ふう・・・。何とかなってよかった。」

みずほが、パンパンと会社の制服をはたく。

「ねえ。あれも、何とかしてくれない?」

マスターが小声でみずほに言った。

その先には、敦があまりの怖さにテーブルに突っ伏している姿がみえる。

「はあ・・・ゴキブリごときで・・・お前は女か!」

みずほは頭を抱えた。


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