第167鱗目:雪遊び、龍娘!

 後はー、そこら辺で拾ったちょっと大きめの石をここに無理矢理押し込んでー……


「かーんせいっと!」


「「「「「おぉぉぉおー!」」」」」


「うおぉっ!?」


 いつの間にこんなに人がっ!?あっ。


「ふもっ!」


 二日目の午後、雪を使ってそれぞれ自由に遊ぶ事になり、作っていたものが完成したと同時に湧き上がった歓声に僕は、驚いて翼を動かすのを止めて雪の中へと落っこちる。


「うぅぅぅ……さぶっ!」


「大丈夫鈴?」


「あ、ありがとうさーちゃん……へぷしっ!」


「あらあら、翼とか尻尾も綺麗に拭いとかないとね。風邪ひいちゃう前に」


「うんー」


「それにしても、お前本当に夢中になって作ってたんだな。まぁこんなでかいの作っちまって」


「あはははは」


 こうなる事が分かってたのか、さーちゃんにタオルケットをかけられた僕は、苦笑いを浮かべながら横に並んだ隆継に続き、顔を上げ目の前にあるものを見る。

 そこには優に5mはあるであろう超巨大な雪だるまが生徒達だけでなく先生にまで囲われ、グラウンドの端に居座っていた。


「んで、この超巨大な雪だるまの原材料はどこから持ってきたんだ?」


「それはね、あっち見れば分かるよ」


「本館……?あっ、さては鈴……」


「そっ、ちょっと雪下ろしをさせて貰いました」


「これまた豪快にやったなぁ……なんか言われたりとかしなかったのか?」


「下ろしていいかって聞いたら逆に喜んで貰えたくらいだったよ。まぁあれだけじゃ足りないから水晶でかさ増ししたけど」


 そうでもしないとここまで大きくならないし、なったとしても下の台が頭の重さで潰れちゃうからね。強度の確保にも必要不可欠なのですよ。


「鈴ねぇ……それ、バレないようにしなさいよ」


「それは勿論。帰る時にもすって消すよ」


「消すって何を?」


「「「うわぁおっ!?」」」


 他の生徒達が超巨大雪だるまに夢中になってる間、何とか距離を取った所で3人でそう話していると、いつの間にかこっちに来ていたとらちゃんに僕達3人は驚いてしまう。


「び、びっくりしたぁ……」


「心臓に悪いわ……」


「脅かさんでくれ……頼むから」


「あはははは、許してーな。それでなんの話してたん?」


「え、えーっとぉ……」


 な、なんとか隠さないと……


「あの雪だるまの処理法よ、ねぇ隆継」


「お、おう!鈴香が殴って消し飛ばすんだよな!」


「えぇっ!?あっ、いや、そ、そうだよっ!」


「なるほどぉ……ところで三人とも、忘れてるかもしれへんけどウチはすずやんが水晶作れるの知っとるならな?」


「……あっ」


 そういやそうだったぁ!お泊まりの時にバレてたんだった!


「はぁうぅぅ……」


 完全に忘れていた事をとらちゃんに言われ、恥ずかしさから無言でさーちゃんが頭に手を当て、隆継が雪に自ら埋もれる中、僕は顔を隠して耳を真っ赤にし、座り込んだのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る