第146鱗目:出し物会議!龍娘!

 僕の高校の文化祭は3日間に渡って開催される。

 その際、メインの1年生から3年生までの全27クラスと部活動でのそれぞれ出し物と共に、体育館のステージでもまたメインに引けを取らない出し物が行われる。

 その出し物とは────


「やっぱりクイズ大会でしょ!」


「いーやここは参加型のゲームがいいでしょ!」


「参加型って参加されなきゃ意味ねーだろ!」


「まぁまぁ、それよりも創作映画なんてどう?」


「編集とかできるの?というか天霧さんが居るんだし劇とかどうよ!?本格ファンタジーなのが出来るだろ!」


「「「「「「「「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ…………」」」」」」」」


 あ、やな予感。


「「「「「「「「天霧さんはどれがいい!?」」」」」」」」


「えぇぇ〜……」


「あはははは……」


 それぞれの学年が主催する学年での出し物である。


「というかそもそも僕、呼ばれる必要ないのに話を振らないでよ」


「いやいや、天霧さんは我ら1年生のシンボルみたいなものだから、逆にこの場に居るのが当然では?」


 いやいやいやいや、さも当然の様に頷かないでよクラス委員長の皆さんや。


「ごめんね天霧さん、どうしてもって言われて」


「ううん、委員長は気にしないで。それに今日はさーちゃんにも働くなって言われてたから」


 だからお願いされた時は丁度いい暇つぶしになるぞーって思ってたんだけどね、思ったよりもめんどくさいのに首を突っ込んじゃったみたいだ。


 僕は心の中で大きくため息をつくと、改めてかれこれ1時間近くギャイギャイ言い合っている委員長達を見て、今度は心の中ではなくリアルでため息をつく。


 そもそも学生の出し物なんだし劇とか映画とかクオリティを要求されるのじゃなくていいんだよ。なんなら本当にクイズ大会くらいがいい。


「そういや、他の学年の出し物って?」


「えっとね、3年生は例年通りミスコン、2年生は今年はクイズ大会みたいだよ」


 ありゃ、クイズ大会はダブっちゃってたか。というか────


「例年通り?」


「うん、一応3年生は受験生だからね。勉強とクラスの出し物で手一杯なんだよ」


 そりゃそうか、逆に出し物出来るだけ余裕があるのが凄い気が…………違うな、うん。多分ただの気晴らしだこれ。


「それはそうと委員長は何か案とかないの?」


「わ、私?ないない!そんな私の案なんて……」


「ほんとにー?」


 怪しいなぁ……


「うっ……実は…………」


「実は?」


「料理大会なんて……面白いんじゃないかなぁーって…………思ってたりなかったーり……」


「いいじゃん料理大会!」


「ふぇっ!?」


 恥ずかしそうに言う委員長の手をガシッと取り、僕が尻尾を大きく動かしながら目を輝かせて賛成すると委員長は軽く驚いた後、照れたようにモジモジとし始める。


「そ、そうかな……?」


「うん!すっごいいいと思う!」


 特に今の所出てる案の中だったらずば抜けて!それにこれなら、もし僕が参加する事になっても楽しめそうだしね!


「えへへ……それじゃあ提案してみるね!」


「うん!応援してるよ!」


 僕に自分の案を褒められ背中を押された委員長はそう言うと、未だギャイギャイ言い合っている委員長達に自分の案を提案し始めた。

 その後反対の意見もあったりしたが僕の口添えもあり、その結果今年の1年生の学年での出し物は料理大会に決定されたのだった。

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