第137鱗目:共同作戦!龍娘!
「それじゃあ鈴ちゃん、怖いだろうけどお願いね?」
「ん、分かった。がんばる」
「私の弟子に手を出した事、後悔させてやるわ〜」
「金城さん、うちの鈴ちゃんに手を出したんです、後で私の方にも回してくださいね?」
「もちろんOKよー」
怖いっ!この人達怖いんだけど!というか追われてはいたけど手は出されてないからね!?
昼休みの校長室、校長先生の許可の元この場に来た僕は、同じくこの後の作戦の為に来たちー姉と金城さんの恐ろしい雰囲気に、横に居る校長先生と一緒に青ざめた顔で震えていた。
「と、とりあえず!これは我が校としても、我が校の生徒である天霧さんがそのような事に巻き込まれているのは看過できません。全力でお手伝いさせていただきます」
「御協力感謝しますわ校長先生。それでは」
「はい、作戦通りに」
「鈴ちゃん、がんばってね。絶対成功させるから」
「ん、頑張る」
えらいえらいとちー姉に頭を撫でられ、僕は作戦開始というようにして2人が出た後、校長先生と一緒に校長室を出ていったのだった。
そう、僕達はこれから、ここ数日僕を悩ませているストーカーをとっ捕まえる作戦を行うのだ。
やる事は簡単、金城さんの部下と日医会の僕と仲良くしてくれてた人達、そして手の空いている先生達によりストーカーを予定のポイントで捕まえるのだ。
でもまさか、三浦先生がそんな根回しが出来るほどだとは思わなかったなぁ……
「でもまぁ、ストーカーがこの学校の生徒じゃなくてよかったです」
「えぇ本当に、まぁ流石に天霧さん自身にフラれたから大丈夫でしょうが……ラブレター9通はやりすぎですし、注意はしておきます」
それは本当に助かる、もうラブレターは懲り懲りだ。
そう、この案件に乗り出す前に第1犯人候補として上がったラブレターの送り主と僕は、昨日先生が陰ながら見張っている状態で会った。
そして告白を断った上で聞いた所、ラブレターの送り主はここ数日僕を付け回しているストーカー本人ではない事が分かった。
ちなみに、告白された僕は嬉しいと感じる所か、ドキドキのドの1画目すら出てこなかったのは、本当に申し訳ないと思っている。
「でもこれで誰がストーカーかやっと分かりますね」
「おぉ、校長先生もやる気ですね」
少し意外。
「当然です。我が校の生徒である内はそんな不埒な輩に手は出させません。だからこそ、囮のような役をさせてしまい、本当に申し訳ない」
「いえ、気にしないでください。それに────」
「今日でこれも終わりですから」
そう言うと僕は、また青ざめていく校長先生を横に、金城さんやちー姉にも負けない程威圧感に満ちた雰囲気を笑顔のまま放つのだった。
ーーーーーーーーーー
さて、それじゃあいっちょ。
「ゆったりのんびり帰りましょうかね」
勿論餌になる為だけどね。
放課後になりいよいよ帰る事になった僕は、そう言うと教室を出てとらちゃんに捕まる前に早歩きで靴箱へと向かう。
ちなみに隆継とさーちゃんには作戦を実行すると伝えている為、今日は別々に帰ることになっている。
よし、このまままずはとらちゃんと会うことなく靴箱まで行かなければ──────────
「あ!すずやんナイスタイミング!一緒に帰ろー!」
「うそーん」
今日に限ってそんなジャストタイミングで階段で鉢合わせする?
「うそーんって……もしかして嫌だった?」
「へっ!?あっ、いやっ!そんな事は─────」
「ごめんなすずやん、ウチ仲良くしたくてやってたんやけど…………迷惑やった?」
うっ!そんな捨てられた子犬みたいな可愛い目で……!
「迷惑じゃないよ!迷惑じゃないけど、ちょっと今日は間が悪いかなぁーなんて」
「でもレンガ広場に行くんやろ?」
「う、うん」
一体どこで聞いたんだろう……
「じゃあそこまで一緒にいこっ!ウチもちょっとレンガ広場に用事あるし!」
「いや、でも今日はちょっと……」
「ほら!いこいこ!」
「あぁぁぁあ!分かった!分かったからぁー!」
そう言うととらちゃんはグイッと僕の手を引っ張り、問答無用で一緒に行こうとする。そして手を引っ張られた僕はバランスを崩しかけながらも、そう言ってとらちゃんについて行く。
まぁ万が一何かあっても金城さんとかちー姉達もいるし、多分大丈夫でしょ。それに───────
「今日はねー、クレープ屋さんが来てるって話があってなー?」
こんなに可愛い笑顔をしょんぼりさせたくないからね。
「すずやん?」
「ん、なんでもない。クレープ楽しみだね!」
「やろ!?そうと決まれば善は猛ダッシュや!」
「おー!ところで…………クレープってなに?」
「そこからかっ!全くすずやんはもー」
「あはははは……ごめんねー?」
そうして僕達は仲良く一緒にレンガ広場へと向かうのだった。
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