140字蟹111 うどん

「夜だー!」

「蟹……お前いつも夜はテンション高いよな」

「君が低いぶん、上げてあげてるのさ」

「そんな必要はないんだが」

「夜って素敵だろ? 街が寝静まる、僕等は起きている、独り占め、いや二人占めじゃないか」

「二人占めか」

「なんだい」

「そう思ってるやつらが他にもたくさんいるんだろうと思ってな」

「はー、君はまったく夢がない、そんなことでいいのか!」

「いいだろ別に。どうせ叶わないものを持ったって意味がない」

「そうかな……」

「そうだろ」

「まあ君がそれでいいならそれでいいけどさ」

「……」

「夜だしうどんだと思うんだ」

「なんだ急に」

「夜食ー!」

「はあ……まあ付き合うけどほどほどにしろよ」

「やったー! それでこそ友!」

「都合のいいときだけ友って言うなよ」

「ひどい! いつも言ってるでしょ! さっきも言った!」

「はいはい……」

「ぶー!」

「うどん食うんだろ」

「そうだった! うどんー!」

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