140字蟹96 スカウト
蟹にさらわれて消えてしまった幼馴染みがいる。いや本当はいない。いたらこの蟹排斥のご時世強気に出られるなと思っただけだ。そんな自分の性格の悪さがほとほと嫌になるが、性分なので変えられない。変えようとして蟹を探したこともあるのだが、見つからなかった。ここまで極まってしまった人間に蟹は見つからないのかもしれない。でもひょっとすると絶望すれば見えるのかもしれない。希望でもない、絶望でもない、ふわふわした停滞の中で宙ぶらりんになっている限り蟹は見えないのか。それならどうすれば。
そんなことを考えていた俺の部屋のドアを蟹ハンターのスカウトが叩いたのは夏の始まりのことだった。
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