140字蟹91 蟹隠し防止

「なあ実際蟹って何なんだ?」

「それを蟹である君が言いますか」

「だって気になるだろ、蟹」

「蟹学校で習わなかったの?」

「なんか曖昧に濁して教えてくれなかったんだよな。概念ーとか言って」

「じゃあ君が調べたら?」

「その発想はなかった、ちょっと行ってくる」

「どこに?」

「蟹神社!」

 出掛けて行こうとする蟹を俺は必死で止めた。一匹で行かせるとなんだか二度と帰らないような気がして。

 次の休み、一人と一匹で蟹神社に行く。パートナーと一緒なら「隠される」ことはたぶんない……たぶん。

 わからないけれど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る