140字蟹75 恋に憧れているんだ

「何にもしたくないけど僕は恋に憧れているんだ」

「憧れるだけ?」

「実際にはしないさ。面倒だろう」

「それが君の君たる所以みたいな答えだねえ」

「蟹、君もいずれわかるさ」

「僕? 僕はもうわかってるよ」

「わかっていないかと思っていたが」

「僕は君の蟹だからね」

「じゃあ」

「理解と同意は違う。君もわかってるだろ」

「フン、今度は君のターンか」

「君はいつもわかってるようで何もわかってないからね」

「言ってくれる」

「実際そうだろ?」

「ここでそうだと言ってしまうと僕の負けになるだろう。言わないよ」

「そんな君が僕は好きなのさ」

「僕は君が嫌いだよ」

「フフフ」

「フン」

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