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「ルシウス君!

 実際の所どうなんですか?!」


「あっそれは」


「おバカですわね聖女様!

 殿下がお二人の事を思ってなされたのに今お認めになるはずがございませんでしょう?」


「あっそっか!

 内緒なんですもんね!」


 キャロルはクロワッサンを齧りながらキャピキャピと騒いでいる2人を眺める。


 凄い。


 この問答無用で押し切る話術は学びたい所だ。


「でもそうだよねー。

 キャロルさんもレオン君の方がいいよね。」


「私は別に誰でも良いですが。」


 焼きたてのクロワッサンはバターの香りがたまらない。


 キャロルのベーコンとレオンのクロワッサンを交換してくれないだろうか。


 キャロルの視線を感じたのか漸く呼吸を整えたレオンが視線の先のクロワッサンをキャロルの皿に置きベーコンを持って行く。


「どうもどうも。」


「いや俺もベーコン欲しかったし。」


「…確かに無言で意思疎通出来てますものね。

 レオン様とキャロル様って似てる所ありますし。

 殿下がお似合いだと思われるのも無理もありませんわ。」


「だよねだよね!

 なんかもう家族みたいに見えますよね!」


 妹と彩花嬢が大騒ぎしている。


 ただキャロルとレオンは毎日一緒に食事をしていた為、互いの趣向が分かっているだけではあるのだが。


「あのお二人共その辺で。

 殿下が立ち直れなくなりますので。」


「えっ大丈夫ですの?」


「どうしたのルシウス君?」


「…いやうん。

 問題ないよ。」


「大丈夫か殿下?

 サラダやろうか?」


「あっ私のブロッコリーもあげますよ。」


「嫌いな物を私に押し付けようとするのはやめなさい。」


「殿下。

 大丈夫ですよ。

 傍から見て殿下も仲良いですからね。」


 リアムがよく分からん励ましを送っているが効果はあまり感じられない。


 その光景を無視してキャロルは3つ目のクロワッサンをもぐもぐと頬張る。


 やっぱりこのクロワッサンは美味い。


 美味である。


「…私のクロワッサンもいるかい?」


「えっいいんですか?

 じゃあブロッコリーあげますね。」


「ブロッコリーは自分で食べなさい。」


 そう言ってキャロルの皿のブロッコリーをフォークで刺しキャロルの口に押し込んでくる。


 慌てて口を閉じて防御するが間に合わない。


「…まっず。」


「うん、偉い偉い。

 ほらクロワッサンどうぞ。」


 ルシウスがキャロルの頭を撫でる。


 口の中はブロッコリーの青臭さでいっぱいだ。



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