28
「…キャロさん、なんか機械人形みたいな動きをしてるが大丈夫なのか?」
「…大丈夫です。
余裕です。」
そう強がってリアムに返すが何だか可哀想な物を見る目で見られている。
正直全く余裕の欠片もないが構うものか。
キャロルの野望を筋肉痛等で途絶えさせるわけにはいかない。
キャロルはそう考えながら馬によじ登ろうとするが筋肉痛のせいもありやはり上手くいかない。
昨日と同じ馬だったらしくおやおや無様だなと言わんばかりの目で見てくる。
…この馬いつか馬刺しにしてやらねばなるまい。
そんな事を考えて馬と睨み合っていると体がフワッと浮いた。
「…確かにこの身長じゃ馬に乗るのも大変だよなぁ。」
そう言ってリアムは苦笑いしながらキャロルを馬に乗せてくれる。
こいつもしかしたら良い奴かもしれない。
馬鹿(レオン)と魔王(ルシウス)より非常に安全でまともな人間なのは間違いないだろう。
こいつなら手を組んでやっても良い気がする。
キャロルが上から目線で失礼な事を考えてるとも知らずちゃんと手綱持ってるか?とリアムは甲斐甲斐しく世話を焼いていた。
リアムとて好き好んで危険生物と手を組みたいとは思わないはずなのだがその辺はキャロルの頭から抜け落ちていた。
「さぁ、出発しようか。」
そんな魔王の合図を聞き皆横腹を蹴ったのであった。
昼間なのに薄暗く感じる程鬱蒼と茂った木々。
冒険者がよく立ち入るからか道はしっかりふみかためられている。
時折聞こえる鳥の鳴き声以外息をするのさえ躊躇うような静寂。
そんな森の中をポクポクと馬を進めていた。
「…なぁキャロ、あそこ何かいるぞ。」
隣に並ぶレオンが声を潜めながら囁く。
レオンの視線の先には確かに何かがいた。
竪琴を抱えた女性が木の下に腰掛けている。
生者とは思えない真っ白な肌のその女性は溜息をつきたくなる程美しい。
レオンの声が聞こえたのかリアムも視線を辿りあぁ…と後ろを振り返った。
「あれはアレーンだな。」
「アレーン?」
「アレーンは音楽の精霊だ。
今は寝ている様だから大丈夫だがあれが起きていたら耳栓をしなきゃならないんだ。
覚えておくと良い。」
「耳栓をしないとどうなるんだ?」
レオンが聞くとルシウスが答える。
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