記憶ダイブ4

 そしてまた次の場面。

 また、雅遼さん…やっぱり違和感があるから今は御神楽さんと言っておこう。

 御神楽さんとお父さんの二人が映っていた。

 さっきの場面とは違い、御神楽さんはだいぶ成長している。

 ざっと12、13歳ほどだろうか?

 学校にはあの後行けたのかな…?

 部屋の様子を見てみる限り、何も変わっていない。

 …どうやらまだ行かせてもらえないみたい。

 状況は変わらず、かぁ…。


「父さん…最近恵果けいかが来ないのは…どうして?」


 えっ!?恵果さんに何があったの!?

 御神楽さんの質問に、御神楽さんのお父さんは黙ったままだった。


「…ねえ、父さん!なんで?」


 御神楽さんはお父さんにすがろうとするが御神楽さんのお父さんはそれを振り払う。


「あいつは担当から外した。もう、お前のもとには来ない」

「えっ…?」


 それを聞いて御神楽さんは絶望した顔をする。


「嘘…だよね…?なんで…?」


 御神楽さんの問いに御神楽さんのお父さんは答えない。


「いつもそうだよね…ぼくから何かを奪う。そんなにぼくを孤独にして楽しい?」


 それを言った後、御神楽さんのお父さんは御神楽さんの頭を思いっきり殴った。


「うぁ…っ!」


 その衝撃で御神楽さんは床に思いきり叩きつけられた。

 打ち所が悪かったのか、頭からは血を流していた。

 そのあと、御神楽さんのお父さんは御神楽さんに馬乗りなり、首を絞める。


「なんで!?やめてよ!!!」


 私は届かないというのはわかっていてもこういわずにはいられなかった。

 なんでこんなことをするの!?

 もう、やめてよ!

 御神楽さんをこれ以上つらい目に遭わせないでよ!!


「あがっ…!苦しい…!父…さん…、やめて…!」


 御神楽さんは腕や足をばたつかせて必死に抵抗する。

 どうやら力ではかなわないようで、それは全く効果はなかった。

 なんで?なんでいつも困っているときに私は手を出していられないの…?

 ああどうか、お願い。

 だれかこの状況の御神楽さんを助けて!

 そう思ったその時、襖がガラッと開く音がする。

 そして、ドゴッと鈍い音がしたと思ったら、御神楽さんのお父さんは崩れ落ちるように倒れた。

 何が起きたのか、一瞬過ぎて私にはわからなかった。


「…ごめんなさい、御新さま」


 そこに現れたのは、恵果さんだった。


「けい…か…?」


 御神楽さんがそういうと恵果さんは「なに?」と優しく微笑みかける。


「もう、ぼくいやだ…死にたいよぉ…」


 と御神楽さんはボロボロと泣き始める。

 そんな御神楽さんを恵果さんは優しく抱きしめる。

 泣きつかれたのか、殴られたダメージが今になって来てしまったのかそこから御神楽さんは気絶してしまった。



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