どこかで
放課後。
いつもの通り、はっちゃんと美術部部員たちは私の所属しているゲーム部部室に集合してる。
「いやあ本当驚いたよ…。髪の毛びっしょびしょでジャージ姿で教室に来たんだもん」
とはっちゃん。
「なんでそんな姿になったわけ?」
「何があったの?」
と木野先輩と江島先輩が私に聞いた。
「えっと…河原に人がいて、その人、遊泳禁止の川に潜ろうとしてたんです。私その人自殺するんじゃ!?なんて思って…助けなきゃ!ってなったんです。で、説得しようと思ったら足を滑らして…逆にその人に助けられちゃって…」
私もどう説明すればいいかわかんなくなってきた。
でも伝えれる程度精一杯説明した。
「ようするに…川に落とし物取りに行こうとした人を自殺願望の人と勘違いしたと?」
「そんで、その人を助けようとしたらザブーンっと言っちゃったわけ…」
木野先輩と江島先輩は私の言いたいことを言ってくれた。
私はその答えに「それです!それです!」と勢いよく言う。
そうすると部室にいる全員がどっと笑いだす。
「清本、お前ほんとおっちょこちょい!」
「ひー!腹痛い!」
「ちょっと笑いすぎよ、あんたら!…ぷっ!クスクス…!」
「ちょっとそれ全然フォローになってないです!」
先輩や、同級生の子たちが笑っているのを見て、私も自分で自分がバカらしく思えて、笑ってしまう。
笑いに包まれながら、今日の学校生活は終わった。
帰り道。
当たり前だけど、今朝出会ったきれいな人は川原にはいなかった。
あの人も無事学校に行けたかな?
この変じゃ見ない人だったけど…。
もしかしてあの人、学校が休みだったからあの時間帯に河原にいたのだろうか。
それにしてもどこか神秘的な人だったな。
きれいだからっていうのもあったけど…現実とはかけ離れているような美しさがあの人にはあった。
芸能人か何かだろうか?
あれほどきれいな人だったらテレビに出ててもおかしくはない。
検索をかけてみたが、あの人に合った条件の人を見つけることはできなかった。
っていうことは一般人!?
世の中には隠れた美形がたくさんいるんだな、私はそう思った。
でも、なんでだろう?
名前もわからないあの人とも、『焔竜』のプレイヤーとも…またどこかで会うことができるそんな気がした。
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