オーラ

「うえええええええ~‼‼‼いいいいいいい、『稲荷・雅』!?」


 私はあまりの驚きに後ろ走りで『稲荷・雅』から離れ、ちーなとはっちゃんのもとへ戻る。

 

「いや…、なんでって言われても」


 と『稲荷・雅』は困ったようにそう言う。

 …何気に『稲荷・雅』がしゃべっているの初めて見たような気がする。

 ランキングマッチの動画を見てみても、ほとんど口を開くところの見たことなかったし。


「…『稲荷・雅』って話せたんだ…」


 とちーなはぼそっと言う。


「私も…。ほら、あの人って噂でAI説あったもん」


 とはっちゃんもぼそっと言った。


「でも…」

「うん…それにしても…」


 たぶん二人が思っているのは私と一緒だと思う。

 みんなで顔を合わせてせーのっと小声で。


「「「オーラ半端ねぇ~…!」」」


 ロゼッタ様のお上品なオーラとはまた違う、こう…言葉に表せないようなオーラが彼?彼女?にはあった。

 ロゼッタ様や焔竜のように性別がはっきりしていないからどう表現すればいいのかがわからない。


「キミら、友達同士?仲いいんだね」


 そんな事お構いなしとでもいう感じに『稲荷・雅』は淡々と言葉を吐いていく。


「あっ、そうだ。助けてくれてありがとうございます」


 オーラに圧倒されてつい忘れていたが、危機的状況をこの日とは助けてくれた。

 お礼を言わないと。


「あっ、うん?なんのこと?」


 はて?と言いたげに『稲荷・雅』はしていた。


「えっ?あの…コウザンコウモリから助けてくれたので…。お礼をと」

「…ああ、無意識のうちに倒してたか。気づかなかった」


 ひえ~。

 ちーなとはっちゃんの方を見てみる。

 うん、二人ともひえ~っていう顔してた。

 無意識のうちに倒すってどういうことなの…。

 さすがは最強っていうかなんというか…。


「あっ、足元になんか落ちてるよ。はい」


 といって『稲荷・雅』は足元にあったキラキラ鉱石を私に渡してくれた。

 意外といい人なのかもしれない。


「あ、ありがとうございます!」


 私がお礼を言うと『稲荷・雅』はその場を去ろうとする。


「あ、あの!最後に聞きたいんですけど!なんで、あなたがこんなところに?」


 私がそう叫ぶと、『稲荷・雅』は「うーん」と言った後。


「ぼーっとするためかな。そしたらキミらの声が聞こえたからさ。これでいい?いいね?じゃあ。運がよかったらバーチャルかリアルか…まあどこかしらで会うかもね」


 そう言って『稲荷・雅』は去っていってしまった。

 呆気に取られていると、通知が来た。

 時間が来たようだ。

 結局集められたキラキラ鉱石は一個だけだった。


「はぁ…。集めれたのひとつだけか…」


 私がそうしょぼくれているとちーなが。


「でもほかの素材もゲットできたよね」

「うん、わたしらのレベルも上がったし。でも何より…」


 また私たちは顔を合わせる。

 やっぱり思っていることは一緒のようだ。

 せーの。


「「「『稲荷・雅』、半端ねぇ…」」」


 


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