初クエストバトル!
私たち初心者のプレイヤーにはあらかじめ、初期装備としてそれぞれの個性に合った武器がひとつだけ用意されている。
私に用意されていたのはボロボロの短剣。
ちーなは…うん?なんだあれ?うちわ?
はっちゃんは杖…というよりか枝を加工した棒。
でも、素材を手にすれば持っている武器を強化することができる。
そのために頑張らなくちゃ!
「くらえー!『ビリビリショック』!」
とはっちゃんは木の棒から電撃を。
電撃がコウザンコウモリに当たるが、やはりレベルが足りないのか一撃必殺とはいかなかった。
「たは~!やっぱ一撃だけじゃダメっすよね~!?」
「えーっと私の使えるのは…これか!行け!『
ちーなはうちわでビュンっと一瞬だけ勢いのある風を起こした。
だがこの攻撃も微々たるものだ。
「よしっ!私も!」
当然だが私の使える技も一つだ。
今使えるのは…。
「『
私が短剣を振りかざすと魔法でできた水泡が現れた。
それでストーンマン(幼体)に斬りかかる。
石ということもあるのか、とても硬い。
これは一苦労かかりそうだ。
「叶波、待ってて!コウモリの方がもうすぐで倒せそうだから!」
はっちゃんがそう言う。
「ごめんね叶波!」
ちーなは今、コウザンコウモリの方が数が多くてそっちの方を手伝っている。
ストーンマンより、蝙蝠の方がいくらか風の攻撃が効きやすいというのもある。
今、ストーンマン(幼体)に一番有利な攻撃ができるのは私だ。
ここは耐えないと!
「大丈夫!なんとか耐えて見せるから!『
あっ!やばい、かわされた!
ストーンマンはキュッと動いて、ドシドシっと音を立てながら転がり始めた。
向かった先は私ではなく、ちーなやはっちゃんがいるところだ。
「ちーな!はっちゃん!ストーンマンがそっちに!」
「うそっ!?」
こんな時、広範囲の攻撃ができればいいのに!
イチかバチか、私は攻撃をする。
「間に合って!『
必死の思いで出した攻撃。
今までのとは違い、なんだか攻撃範囲がひろくなった気がする。
「これなら間に合う!行け~‼‼‼‼」
私の短剣がストーンマンを切り砕いた。
ストーンマンだった瓦礫の中に何かキラキラと光るものがあった。
もしかして…キラキラ鉱石?
コウザンコウモリははっちゃんとちーなを無視し、キラキラ鉱石かもしれないものに一直線に向かい始めた。
だがそれに私は気づいてなかった。
「叶波!コウモリがそっちに!」
ちーなの声に私はようやくコウモリが私の方…いや、キラキラ鉱石の方に飛んでくるのに気づいた。
「うわああああぁあぁ~‼‼‼‼」
さすがにこれは間に合わない!
二人の距離も遠い。
やられてしまう、絶望的だ。
…そう思っていたが、私は自分が攻撃を受けていないということに気付いた。
気が付くと、コウザンコウモリが倒されていたのだ。
ちーなとはっちゃんは私の方を…違う、私の後ろにいる人物をぽかーんとみていた。
「えっ?なんで…?」
「あの人がこんなところにいるの?」
私もさっきのことでただでさえ混乱してるのに、後ろにいる人のせいでさらに混乱してしまった。
私の後ろにいた人物、それは…。
現ユグドラシルONLINEで最強と言われている、『稲荷・雅』その人物であった。
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