第36話 僕は生き残ることができるか?

でん! てれてて~ て~って~っ

でん! てててれてれて~(ぱーぱぱぱぱぱー)て~っててー♪


で で で でれれれれって

で で で でれれれれって

でっちゅん でっちゅん でっちゅん……


「君は、生き残ることができるか?」


でってんでれれれれん!♪



……眠い。


現在、am8:10。

スマホにセットしてあった目覚ましが鳴り、僕を無理矢理現実世界へ引き戻す。

寝たのが確かam5:00くらいだったので、3時間程度しか寝てないことになる。

はっきり言って、寝不足である。


あーもう時間かよ、会社行くの面倒くせ~……と背伸びしながら、ふと思い当たる。

ん? 待てよ。

なんか会社、行かなくて良かったような。。。


僕はモヤモヤを覚えつつも、眠たい眼を擦りつつ、上半身をなんとかベッドから起こす。

温かい布団から出た上半身に一気に冷気が襲い掛かった。

それを受け、寝ぼけていた頭が一気に覚醒する。


「……僕は、生き残ることができるか?」


そうだった。

血の記憶、覚えた生命の危機。

ズキリと鈍く痛む手首やてのひら

昨日のソレらは夢でも何でもなく、現実だったはずだ。

会社どころの話ではない。


……会社に行かなくてもいい。

その理由はどうあれ、それだけでちょっとラッキーと感じてしまうのは、長年染みついたサラリーマン根性のせいだろうか。

しかしながら、頭が覚醒し色々な現実を思い出していくにつれて、非常に気が重くなってきた。


食料等を含めた生活必需品を調達しなければならないし、その為には外に出なければならない。

ゾンビの数や危険度はよくわからないままだが、どちらにせよ外に出ないことには把握しようがないから、命の危険を冒す必要があることは間違いなさそうだ。

昨夜の物音の件もあるし、偶然このビルの2体以外はいないとかは楽観的すぎるだろう。

それどころか、窓を開けてビックリ、街中ゾンビだらけみたいな最悪な展開だってあり得るかもしれないのだ。


とりあえず布団から出ようとガバッとめくると、寝ぼけた生体湯たんぽ……茶々丸が股の間から現れた。

僕は習慣で彼女の頭をわしゃわしゃと撫で、ベッドを降りて立ち上がる。

茶々丸は、気持ちよさそうに背伸びからの足伸びをすると、僕に続いてトンと床に飛び降りた。


「外の様子見てみるから、ちょっとおりこうしていてな」


「にゃあ」


普段ならここでゴロンとお腹を見せ、かまって遊んで会社行かないで攻撃か、腹減った飯よこせ攻撃か、ベランダに出せ攻撃を仕掛けてくる茶々丸ではあるが、今回は一言鳴くと素直にちょこんとお座りをした。

猫は気まぐれで我が儘なのは認めるところではあるが、時々人語を解しているような行動をするのには驚かされる。

猫は空気を読むってヤツだね。


……まあ、今回の場合は危険を察知し僕に外を確認させるつもりなだけかもしれないけど。


はいはい、それでもいいさ。

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