ライブラ
勝利だギューちゃん
第1話
「いらっしゃいませ」
今、僕は冥界への入り口にいる。
僕の名前は、北水秀太(きたみず しゅうた)
高校2年生だったはずだが・・・
あっけなく、死んだみたいだな。
まあ、これも運命か・・
で、ふたりの女性に出迎えられたわけだが・・・
「私は、天使のビット、ビットでいいよ」
「私は、悪魔のビルン、ビルンでいいよ」
あからさまな格好だな。
「僕は・・・」
「北水秀太くんね」
ふたりが声を揃う。
まあ、知ってるよな・・・
「で、どうして天使のビットさんと、悪魔のビルンさんで、お出迎えですか?」
「さんは、いりません」
ふたりして、怒られた。
なぜ?
「で、本題なんだけど・・・」
ビットが言う。
「君は、いい事もしなかったし、悪い事もしませんでした」
ビルンが続けて言う。
「平凡だったのか・・・」
まあ自分でも、そう思っていたが・・・
「そんないい物ではありません」
ビットが言う。
「で、天国に行くか、地獄に行くか、決めかねています」
「無責任ですね」
「君のせいでしょ?」
何で僕のせい?
ビットとビルンが、僕を見つめる。
それなりに可愛いので、照れる。
「ウブなんだね」
「彼女いなかったんだ」
余計なお世話だ。
「で、本題なんだけど」
ビットが言う。
「君をはかりにかける事にしました」
「はかり?」
ふたりは頷く。
「私、天使のビットよりも軽ければ、天国行きです」
「私、ビルンよりも重ければ、地獄行きです」
魂を天秤にのせるという話は聞いていたが・・・
「で、おふたりは何キ・・・」
ボカスカドカ
ふたりがかりで、ふくろにされた。
「女の子に、訊かないの!」
僕、悪いことした?
「じゅあ、まず私からね。」
天使のビットが、天秤に乗った。
「さあ、秀太くん、反対側に乗って」
「へいへい」
仕方なく乗る。
ビットの乗っているおさらが、下がった。
「うん、私よりも軽いね。女の子としては、ショックかな」
僕は魂だけになっている。
軽くて当たり前と思うが・・・
なら、天国か?
「じゃあ次は私ね。秀太くんはそのままでね」
ビルンが乗る。
僕のさらが、下がった。
「うん、私よりも重いね」
ビルンは嬉しそうだ。
えっ、地獄?
ということは、ふたりの体重は・・・
「そこから先言ったら、ただじゃおかないわよ」
ビットに睨まれる。
だから、悪い事してませんてば・・・
でも、この場合はどうなる?
「仕方ない。君には中間点に行ってもらいます」
「中間点」
どこだ?そこは・・・
「下界よ、女心を勉強してきなさい」
気がついたら、病院のベットで寝てた。
わけわからん・・・
一度死んだ理由は、突発的なものだったらしいが・・・
臨死体験について訊かれたが、話さないでおいた。
あほらしい・・・
そのころ、冥界では・・・
閻魔「ビットにビルンよ、上手くやってくれたな」
ビット「はい。閻魔様」
ビルン「彼はまだ、死ぬべき人間ではありません」
閻魔「彼が死んだのは、私のミスだからな。すまないことをした。お前たちにもな」
ビット「ええ、彼はまだ、気付いていませんが、他の人にはない魅力があります」
ビルン「それを、どう生かすかは、彼次第・・・」
閻魔「で、あの話は、考えてくれたか?」
ビット&ビルン「喜んで、お引き受けします」
数年後
僕は、変わらない日常を取り戻した。
臨死体験中の事は、覚えている。
あの二人、どうしているかな?
かわいいだけで、あまり個性がなかったよな・・・
僕も、人の事は言えんが・・・
「悪かったわね。個性がなくて」
聞き覚えのある声がした。
しかも、かぶさって・・・
振り返ると・・・
「やあ、秀太くん、元気そうだね」
「ビット、ビルン、なぜ下界に?」
ふたりは、笑顔で答える。
「閻魔様の命により、君を監視します」
「なぜ?」
≪君が、君の持っている魅力を発揮する、手助けをするために≫
ライブラ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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