無垢な残虐

名前も知らない老人の住む家の裏の倉庫から

長い棒を盗み出してやった

僕はその棒を思いっきり振って

夜空の月を叩き落とした


カチンと線香花火みたいな火花が青い夜空に発光しては消えてその瞬間にも叩かれた月は放物線の残像を描きながら丘の上まで吹き飛んでいった


僕は丘まで走っていった。

赤いキノコのすぐ横に、月が転がっていた

僕はそれを右手でつかんで

ポケットになおした

僕はゲームセンターに走った

店は閉まっていたけれど、扉を蹴破って中に入る。

ガチャのコイン投入口に拾った月をねじ込んで、

ガチャリとハンドルを回した

【(°▽°)】

「なんだ、一番いらないやつじゃないか」


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