第44回:使い古された技術でも(再補講)

ふと思いついたので、再補講です。前回、あの『新日本プロレス』を復活させた『ブシロード』に関して触れました。そこで、もう一つワンモアでこのお題をやろうと思います。


・異世界転移も考えて見ればリサイクル技術

 近年、なろう小説などで注目されている異世界転生ですが、これも実は使い古された技術なんですよね。創作ノウハウで何度かタイトルが出ている『聖戦士ダンバイン』も異世界転移物です。しかも、それを1980年代にやってのけているのですよ。ダンバイン当時はあまり広くブレイクしたような設定ではないように見えます。しかし、それから数年後には『魔法騎士レイアース』や『天空のエスカフローネ』に代表される同じ題材の後続作品が生まれていますよね。その当時では認められなかった設定も、時間がたてば評価されているケースもありますよね。その法則で言うと、大半の創作における設定は昔話や神話の時代にまでさかのぼれるのですが……。


 これと同じ事例は、もう一つあります。異世界転移ではありませんが、当時はあまりにも受け入れられずに打ち切りとなった『どろろ』です。全身がからくりの塊と言う百鬼丸、彼の設定はあまりにも当時には受け入れられず、漫画の方も打ち切りになりました。しかし、時間は流れて百鬼丸の設定等がカルト的な人気を得ていき、様々な創作で使用されました。後にリメイク版アニメが放送された事も記憶に新しいですね。


 それを踏まえると、異世界転移や異世界転生が今になってブレイクしているのは、なろうだけに影響された訳でもないと思えるでしょう。例えかなり古い技術でも、当時は受け入れられなかった設定でも――それを磨く人によっては再び輝きだすのです。それを見つけられるだけのスキルを磨く事も、ある意味でクリエイターには求められているのかもしれません。

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