第77話 魔導忍者は異端審問官に狙われる


魔王が守護する十氏族との同盟締結


十氏族の全集落の要塞化および救援物資の提供


荒廃した『魔族の大地』改め『希望の大地』中心部に世界樹を創造することによる緑地化




ミッションをコンプリートし、雷蔵たちが帰還すると、『賢者の国』は急激に発展していた


その1.まずは獣人族以外の種族の移住希望者が続出した為、『クリエイト・キングダム』で都市を追加


こちらは既に、希望者数が収容数に達しようとしているらしく、近日中に都市を追加予定らしい




その2.大魔導士メイザースプロディースによるあらゆる学問が学べる『メイザース学園都市』を同術式魔法にて追加


まず読み書き、四則演算を基礎として学び、その素質に応じて魔法のみならず、各武器による戦闘、冒険者の技術、調理(甘味大好きっこのメイザースとバベルは特に『パティシエ』の育成に力を入れるつもりらしい)、建築などあらゆる知識を学べる都市となる予定だ


貧富の区別なく学べるようにするため、学費は卒業後に無理なく返済出来る、学資ローン制度も作ることになった


講師には、元冒険者の再就職につながることもあり、冒険者ギルドも出来る限りの協力をしたいと申し出てくれているそうだ




その3.当然首都に、『冒険者ギルド『賢者の国』支部』が速やかに開設され、イェニーナさんがごり押しで赴任してきたのは言うまでもない


最近雷蔵に会う機会が減り、ご機嫌斜めなイェニーナさんに


元凄腕冒険者のギルドマスター ライマールでさえ逆らう事が出来なかったのだ




その4.大魔導士メイザース印の魔道具を各国に宣伝したところ注文が殺到し、急遽大量生産の為の工業都市を追加


工業都市には、各国の職人たちの中でも、高い技術を持つドワーフ族までもが、その技術を学びたいと移住してきているそうだ




その5.そして、雷蔵が依頼していた『飛行船』が完成し、飛行性能や耐久性など各種テストも完了しており何時でも実働可能になっていた




『魔族』と呼ばれ忌み嫌われていた先住民たちと同盟を表明したにもかかわらず、各国から同盟を希望する使者が毎日のように訪れているらしい


エルネスト法国と、ゲルベルト帝国はさすがに使者をよこさないが、ミンガラム連合に属する国々は戦争に参加しておきながらも同盟を希望してきているらしい


「こいつらは却下だな」


と雷蔵は即断した




各国に先住民たちとの同盟を表明する際、使者達に映像投影魔道具を携帯してもらい、雷蔵たちの過去の活躍を記録した映像を見せたそうだ


中でも、『『邪竜』と魔物の大群5万体との激闘編』を見た途端


ほとんどの国が同盟に反対するどころか、逆に同盟を希望してきたそうだ




『賢者』バベルは、他の国は差し置いて、いち早くグーベルク王国へ同盟の申し込む為に、辺境伯:アルフーゴ・フォン・レスラトガへと使者を送る


これは主である雷蔵からのたっての要望である、最優先事項だ!


辺境伯から報告を受け、グーベルク王国の王 グーベルク3世は、もとよりこの申し出に乗り気であった


しかし、更に同盟を締結するに当たって、王国内の都市間および、王都と『賢者の国』の首都クオンとを『飛行船』でつなぐ空の交易ルート開設の提案までが含まれていたことに


「空飛ぶ船『飛行船』で人と物を空を飛んで輸送が可能だと申すか!?」


「何と言う好機! これで我が国は大いに発展することだろう!」


と大層お喜びになったそうだ




「で、こいつらが、『異端審問官』か?」


雷蔵が指さした独房に、人影が12


よく見れば、みな若者ばかりだったが、漂う雰囲気は手練れのものだった



『異端審問官』:幼き頃より暗殺術を仕込まれ、法国に不利益になると判断された者たちを闇に葬ることを使命とする者たち 法国の影のような存在



「彼らの計画通りに、私を暗殺に来たところを捕らえました」


「くそっ! どこで計画が漏れたんだ!?」


『異端審問官』のリーダー格らしき青年がさも悔しげに叫ぶ


任務に失敗したと悟るや否や歯に仕込んだ毒で自殺を試みるも


気が付けば解毒され囚われの身となっていた


プロの暗殺集団として、これほどの屈辱は無いだろう




「あなた方が、枢機卿から『賢者』と『賢者の主』の暗殺を命じられたところからですよ」


「何だと! 法国内に間者がいるという事か」


「いますとも、今もあなた方の傍にもね」


そう言って『賢者』バベルが指さした方に目を向けると


丸い球体が不意に視界に現れた



「偵察用の魔道具だと!?  魔力も動作音も気配も一切しない魔道具など存在しないはず!」


バベルが指をパチンとスナップすると


丸い球体:『魔導ドローン:アルゴス』から映像が映し出される


そこには、枢機卿と自分たち『異端審問官』が移っており、まさに『賢者』と『賢者の主』の暗殺を命じられているところだった




「安心してください 発見できなかったのは、あなた達の技量不足ではありません」


「この『魔導ドローン:アルゴス』は私が主から命を受けて精魂込めて作った逸品」


「各国の要所に放っていますが、未だに発見されたことはありません」


ちらっと雷蔵を見て『精魂を込めて』にアクセントを置いてアピールしているバベル


褒めてもらいたいのか?




「バベル あの時は、無理を言って悪かったな」


「そのおかげで情報戦では、『賢者の国』に勝っている国は無いだろう 本当に助かっている」


「勿体ないお言葉! 今後も全力を尽くして精進いたしますっ!」


バベルさんめっちゃ喜んでます




「・・・さて、こいつらをどうするかだな」


「拷問でも何でもやってみろ! 異端者どもに情報など一言もしゃべらんぞ!」


いや、しゃべらないも何も、すでに情報全て筒抜けですから!




「まあ、取りあえずこの国を見て廻ってもらうか?」


「「「「「えっ?」」」」」




こうして、『異端審問官』様御一行『賢者の国』見学ツアーが開始されることとなった



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