第63話 魔導忍者は賢者の国討伐連合軍と手合わせする(白玲編)3/3


「敵攻城兵器から高出力の魔力と術式の起動を検出」


「10秒後に発動されます」


鉄球が発射される以前に


その兆候に気づき白玲さんに警告を発する


雷蔵たちの『存在進化』と共に


雷蔵と契約状態にあるバベルとイブの精霊としての霊格も上がっている


このくらいの芸当は朝飯前




「味方をを巻き込んでまでの攻撃するのが帝国のやり方かっ!?」


「くそ! 俺たちは使い捨てにされちまった!」


「死にたくねぇよ!」


「お前たちが死ぬことは許さない!」


「生きてその罪を償ってもらう!」


怒髪天を衝く!


戦士としてあまりにも卑怯な行為に白玲の怒りが爆発する!




イブの計算通り10秒後に、爆発するような轟音と共に巨大な鉄球が撃ち出される


500トン質量を持つ鉄塊が高速で、真っ直ぐこちらに向かって飛来する


「ヘカトンケイルで反重力力場を形成します」


鈍器から瞬時に姿を変えた大剣が、鉄球の飛来する軌道上に展開し力場を形成


撃ち出された手球の質量と速度を瞬時に計算


力場の出力を調整する


停止させるなど到底不可能と思える巨大な鉄球は


力場に達した途端、嘘のように上空で停止した




「舐めるな!」 


「このような卑怯な攻撃で、我らがやられる訳がない!」


白玲は双剣を水平に突き出し、光の円を描いて高速で回転を始める、あらゆる角度の超高速の回転で光る球体と化し鉄球へと突っ込む!


光の球体と接触した鉄球は何の抵抗もなく削り飛ばされ、一瞬にして姿を消した


鉄球を削り飛ばすと、白玲は回転を止め地面へと華麗に着地!


『フフフ 決まったな! ライゾーにいいところを見せられた!』


そう思った瞬間


『お見事なお手前でしたが』


『力場で停止させた瞬間に『亜空間収納』する方が効率的で、しかも素材を確保出来ますね』


『なん だと!?』


イブの指摘に愕然とし


その場に崩れ落ちる白玲


彼女ほどの剛の者を屈服させ得る存在


最強の敵は味方の中にいた




「ええい! 何をしている全弾発射しろ!」


一発目を無効化され、やけくそで命令する司令官


『ふふふ イブ殿の言うとおりだな』


合計9発の鉄球が発射されたが


次々に力場で受け止められ


テンションダダ下がりの白玲に『亜空間収納』された


懲りずに次弾を装填し始めたので


「剣星竜風殺斬!」


八つ当たりの一撃


大剣に姿を変えた『剣星竜の剣』で風殺斬を放つ、本体であれば射線上の全てが切断されるはずが、『大鉄球射出魔道具:大破』だけが真っ二つに切断される


十問あった『大鉄球射出魔道具:大破』はその統べたが鉄クズへと姿を変えた


少しばかり白玲の溜飲も下がった事だろう




自分たちも巻き込まれるはずの大鉄球を超高速回転の斬撃で削り飛ばしたこと、『大鉄球射出魔道具:大破』の全てが真っ二つにされた事によって、帝国軍の戦意は完全に消失


皆武器を捨て去り降伏を申し出た




「お前たち戦え! 家族がどうなってもいいのか!?」


「そんなことより自分の心配をしたらどうだ?」


気が付けば、黒い戦士が背後に立っていた


「いっ!いつの間に!」


「家族を人質にとるとは、質が悪いにもほどがある」


「帝国のお偉い方々にも、お仕置きが必要なようだな」



「白玲 よくやった こいつの『お仕置き』はお前に任せる」


雷縛りの術で司令官をマヒ状態にし


「俺は、『地獄の使者』達と帝国まで行ってくる」




司令官が白玲によってたっぷりと『お仕置き』されている頃


帝都近くに設置された転移魔方陣を使い帝都に乗り込んだ


雷蔵と200体の『地獄の使者』達は城を一瞬で制圧


皇帝とその側近たちを『お仕置き』し


兵士たちの家族を人質にとること


獣人族達への弾圧を止めることを確約させる




帝国軍4万の兵士たちはは家族を人質に取られていたことで仕方なく戦わされていた


そして自軍の司令官によって命を絶たれようとしていた


彼らは十分に苦しんでいた


よって『お仕置き』は必要ないと雷蔵は判断した


「皇帝には話をつけておいた 家族の心配はいらない」


「早く帰ってやれ」




雷蔵の一言と共に、彼らは解放され帝都へ即時撤退していった




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