第296話
すでに「ダンジョン
「バカだよね〜。選ばれるのは『犯罪とは無関係で身売りの奴隷』の中からなのにさ」
「エミリア、頭が重い」
「重たくないも〜ん」
奴隷市が開かれる会場のイスに座るダイバの頭に乗り掛かるとダイバに文句を言われた。それでもダイバは頭の上からおろそうとしない。
「エミリアさん、始まるからそろそろ座ってください」
「はーい」
アゴールに軽く背中を叩かれてダイバから離れる。私の席はダイバの斜め後ろ、アゴールとヘインジルの間だ。周囲には管理部の職員も警備のためにいる。
この厳重な警備の理由は、一時間と少し前にバカな連中が現れたからだ。
「あなた、ダンジョン管理部の職員? ねえ、私たちをダンジョン管理部にはいれるようにしてくれなーい?」
そう言われたのは、違法販売していた連中が一斉取り締まりで捕まった直後。ダイバたちから離れて一人で歩いていたときのことだ。
「あんたら、ぶぁ〜か〜?」
「ん、な……」
「なんですってー!」
ケバケバしい女たちが口を大きく開けたから、顔の表面に塗り固めた白粉がポロポロと落ちた。
「あ、化粧がハゲた」
「キャァァァ!」
「イヤァァァ!!!」
顔を押さえて騒ぐ女たちと私を一緒に取り囲んだ男性たち。彼らは管理部の職員たちだ。
「何よ、あんたたち! どきなさいよ! 私たちを何だと思ってるのよ!」
「……なんだ?」
「さあ?」
「ケバい娼婦か?」
「いや、化粧を知らない娼婦になりたてでもここまで分厚く塗らんだろ」
女の言葉にケンカ腰というか挑発する職員たち。
「バカにしてるんじゃないよ!」
「私たちはダンジョン管理部の職員よ!」
「そうよ、私たちはアンタらが気安く声をかけていい立場じゃないのよ!」
「はい、
「………………え?」
私が笑っていうと女たちは驚きで目を丸くして、一斉にこちらをみた。
「この人たちみ〜んな、ダンジョン管理部の職員、だ・よ。んで、私は職員じゃないの。
私のその簡単な説明で管理部の人たちは何があったのかを理解した。……そして理解ができない頭をもつ女たち。脳が情報処理中なのか、女たちの周りだけ時間が止まったようだ。
この時点で、出来の悪さを露呈させている女たちは、逆立ちしてもダンジョン管理部の職員にはなれないだろう。
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