第264話
「……だからといって、ダンジョンを破壊していいはずがないよね」
『床に無色の転移魔法が隠れているのではないか?』や『転移石が鉱石の中に混じっているのではないか?』という憶測がでていた。それを魔法や物理的に穴を掘ってすべて調べていたところ、ダンジョンを破壊していたのだ。崩壊直前に地の妖精が気付いて、私が
私が妖精たちを連れてダンジョン内に入り、白虎の首に涙石のペンダントをかけてピピンとリリンを連れて帰ってきた。地の妖精だけなら私が行くこともない。でもダンジョンの状態が酷いため、みんなの
「エミリア、ダンジョンの修復が終わったら教えてくれ。妖精たちが好きな『鮭のグークース』をやるから」
ダイバの言葉に頷く。
他のみんなも、冒険者ギルドや商人ギルドからも、今回の妖精たちの協力に惜しげもなく報酬を提供してきた。それもそうだろう。ダンジョンの修復ができる人はいない。今まではそのまま崩壊が終わるのを待つだけだ。それに、崩壊の影響が他のダンジョンにも響く。魔物の凶暴化もだ。そして、安全を確認されてダンジョンが再開されるまで一年以上かかることもある。
妖精たちのおかげで、回復に二日くらい。管理部が討伐に入るのと同時に、今回はエリーさんたち上級者ランクの冒険者も協力する。そして、私たちも討伐に協力する。
「無理はするなよ」
「うん、わかってる」
「無茶もするなよ」
「……」
「おい、ピピン。エミリアが無理も無茶もしないように、しっかり見張っとけ」
ダイバにそう言われて、ピピンが笑顔でゆっくりと左右に揺れる。この場合、『どうしようかな〜。もしかしてタダで、なんて言わないよね〜。それに物を頼むのに上から目線? まさかね〜。それがお願いする態度かな〜』だろう。
……だって、ピピンの目は笑っているけど、それは笑顔ではない。
ダイバも気配で気付いたのだろう。「うわっ、スマン!」とビビって思わず謝罪をしてしまった。
「ダンジョン管理部を代表して提案ですが。もしピピンさんがご協力してくださるのでしたら、エミリアさんがお使いになっている『ダンジョン半年間無料券』を一年以上追加して、再来年末まで延長させていただきます。……ああ、今も白虎や妖精の皆さんにはダンジョンの回復や修復に尽力していただいていますから、お礼にダンジョンの永久無料券を進呈いたしましょう。その価値は十分にあります。それでいかがでしょう。ご協力いただけますか?」
情報部の太っ腹なその言葉にピピンが大きく頷いた……
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