第107話
「エアさん。何か食べますか?」
「いえ。・・・まずはコーヒーを」
「お姉ちゃん。カフェオレにする?」
「ユーシスくん。いれてくれるの?」
「いいよ。ミルクと砂糖たっぷりだね」
宿に泊まってる頃から、私のカフェオレやロイヤルミルクティーを
「エアさん。今は何をやっているんですか?」
「私の持ってる貴石にはね。複数の属性を
調べて見て分かったけど、それは属性通りにはならない。
「いま分かっているのは、例えば火属性の影響が大きく水属性の影響が小さい場合。武器と錬金すると『弱い火属性だけの武器が出来る場合』と『火属性の強い武器だけど弱い水属性を纏うことも可能』の二種類が出来るの。でも、どのような条件下で分かれるか。逆に弱い火属性と強い水属性の場合など、まだまだ研究中」
「文字通りではないのですか?」
「うん。違う。含有率も『多い』や『少ない』とあっても、少ないでも『5%』や『38%』とバラバラなの。普通がある貴石では『40%』や『60%』の時もあるわ。今回調べててわかったのが、含有率の表示が貴石によって違うの。『普通』があるかないかってことも、どのダンジョンでどの魔物から手に入れたかによっても違うみたい。ウサギのキバなしでも、普通枠があったりなかったりしてて・・・。これもまだ調査中」
私の説明に「うげー」「エアさん。ずっとそんなことしてたのか」と声が聞こえてきました。
「防具に錬金するとね。『火属性に強いが水属性もある程度防げる』のと『火属性にメチャクチャ強い』のが出来るの。後者の場合、水属性が火属性に強いのが理由だと思う。そして100%を超えると『ほぼ無敵』に近いみたいなの。・・・誰か装備して、エリーさんの『火の上位魔法』を受けてもらえませんか?」
「「「 無理です! 」」」
「「「 無茶です! 」」」
皆さんが二手に分かれて声を揃えて叫びました。
「死にますって!」
「一応、『大丈夫』って・・・」
「一応ってなんですか?!一応って!!」
「だって・・・。自分で確かめようとしたら、エリーさんに止められたの」
「仕方がないじゃない。エアちゃんが自分で装備して確かめようとしたんだから。全力で止めたのよ」
誰もが『エリー!良く止めてくれた!』と心の中で誉め
「だからね。今度『居残り特訓』になった人たちに、試してもらうことになったの」
「お姉ちゃん。カフェオレ持ってきたよ」
「あ、ありがとう。ユーシスくん」
ユーシスくんがカフェオレ2カップと共に持ってきたのはハムとチーズのサンドとポテサラサンドでした。
「いま無理して食べないで、持って帰ってあとで食べて」
「ありがとう。あとで頂くね」
持ち帰ることを前提として。それでいて胃に負担をかけないようにと考えてくれたようです。それも、ひと口サイズという気配り。
宿じゃないため、プレゼント機能が使えません。フレンド登録もしていないため、こうして直接渡すしかないのです。
カフェオレ1カップと二種類のサンドは収納ボックスにしまって、甘めのカフェオレに口をつけました。
「エアちゃん。一応聞いておくけど、武器や装備で何を確かめたいの?」
「暑さ寒さをどの程度まで感じるのか。今の時期なら、寒さも魔法と自然の両方から同じだけ守られるのか、などを調べたいの。『強い火魔法を受けても無効化出来た』としても熱さを感じたら意味がないもの。体内が熱くなって『人体発火』しちゃったら死んじゃいますよ」
私の言葉を聞いて、半数以上が有名な画家の作品『叫び』に似た姿と表情を見せていました。
「でもエアちゃん。そんなこと研究して、何かあるの?」
「うん。・・・・・・あるの」
「そう。・・・じゃあ、何も聞かない。そのうち教えてね。でも『何も言わないで突然実験』は止めてね」
「はい」
エリーさんが言っているのは、アクセサリーの件ですね。
「でも・・・見たかったなー。フィシスさんたちの『お尻フリフリ』」
「ちょっと、エアちゃん?!」
守備隊の詰め所で『お尻フリフリ』をさせていたゼクトたちは、水の効能が切れるまでの10時間ずっとお尻フリフリしてたそうです。気絶していてもフリフリ・フリフリとしていて、フィシスさんたちは記録して『操り水の危険性』を訴えたそうです。その操り水はレシピが公開されていなかったため、ゼクトたちの記憶から消されたそうです。
・・・そのレシピ、私も持っています。水を調べたら『何を使っていたか』が分かったので。
ですが、公開はしません。使った水も『前に回収した水』と言っています。改善して『自白剤』が出来たらレシピを公開しようと思っています。
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