第478話
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……あの」
「……なに?」
「なんで、こんなことになってるんでしたっけ?」
兄妹水入らずででっかい風呂に入ってることのことかな? それ以外ないよねー。あるわけないよねー。
そんなこと言われてもよ。
「俺が聞きてぇよ」
「飯も食ったことだし。風呂にでも行くか」
「お前も行くんだよ」
「なんでだよ」
「そりゃあお前、露天と言えば決まってるだろう?」
「酒かよ」
クイックイッじゃねぇんだわ。どこで知ったよその風習とジェスチャー。
「……」
おい。犯人わかったぞ。ジーッと期待込めてこっち眺めてるお前だな?
そもそも妹の前で異性同士で風呂入ろうとか言ってんじゃねぇ。気まずいだろ。
「いってらっしゃーい」
「なんでお前は普通に送り出すのかね?」
久々に会ったときもこっち来たばっかのときも怒ってたくせに。
なにがお前を変えたのか。
「いや~。もう今さらじゃないですか。姪もいるのに」
「ばぁぶぅ~。さっさといくばぶぅ~」
クソ。叔母と姪でずいぶんもう仲良さそうじゃないか。素晴らしいねほんと。
だが灰音。テメェはでかくなったら覚えてろ?
「ぶるぶる。父が野獣のような目でこっちを見てくる……」
「あ?」
「なんでもないでーすごめんなさーい」
「兄様。まだ赤ちゃんにそんな顔……」
「くーはっは。怒られてやんのー」
「てんめ……」
「兄様~?」
「……チッ」
クソ。結嶺がいると下手なことできねぇ。心強い味方ができてよかったなクソガキ。
だが忘れんなよ? いないときの扱いがどんどん酷くなるだけだからなっ。
「
「義姉……って。確かにリリンさんはそうなりますけども」
「ん? あーちがうちがう。
「へ!? 私!?」
「……指さされたほうが驚いてますけど?」
そりゃあね。俺もリリンかカナラならカナラのが絶対嫁嫁してると思うけど。本人は正妻ポジ望んでないんだよな。顔真っ赤にはしつつもさ。
……愛されてるのは嫌というほどわかるけど。それを含めてなんか結構ドロドロした関係に見えなくもないよな。
片や肉体関係だけで構わない女と片や愛人で構わない女。
そしてすでに肉体関係だけの女との娘がいて。愛人サイドは未だいたしておらずっていう。でも卒業したらヤることは予約済み。
いや本当に我ながら最低な男だな俺。どうしてこうなったよマジで。なにを間違えたのか。
「我としても。煙魔ならまぁ才を任せても良いと思うしな。臭いは強いが、他の有象無象のが染み付くより億倍マシだろうよ」
「そ、そないなこと言われても坊の気持ちもあるしやね……」
「俺としてもお前みたいな女が嫁のが将来安心なんだけど」
「――」
都合の良いを極めた女だし。俺みたいなクズ受け入れる女お前くらいしかいないもん。
「ただいま戻ったぞ~……って、儂のいない間になにしてるんだお前ら」
と、ここでロッテが戻ってきたか。色々お勉強できて満足そう。
「も、もうこの話はおしまい! 坊の伴侶は追々決めたらええやろ。ちゃーんとええ
「え、あ、儂も?」
「ろぅちゃんも!」
「私も?」
「結嶺ちゃんも!」
「「え、え~……」」
と、まぁこんな感じで皆で風呂に行くことになったとさ。
……意味わかんねぇ。
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