第444話
と、そのあたりはおいおい考えることにしまして。
狐狗さんのお陰で上辺だけでも気配を抑えることを思い出したカナラと適当に動物とふれあいながら時間を潰しーの。昼飯の時間になりましたとさ。遅れ気味のな。
うん。俺もカナラも動物相手にはしゃぐことは特にないもんで。特出すべきこと狐狗さんとの邂逅のみってね。
本当。ただの、時間潰しだったよ。
しいて言えば、ウサギを抱えたカナラは可愛かったです。まる。
「……ふぅ~」
さて、それじゃあ公園の休憩所に移動も済ませたところで。一応人の目を忍びながらカナラが向こうにやっといた昼飯を持ってくる。
改めて思うけど便利だよなぁ~。こりゃ本当に俺たちの最大級の特権は手荷物がないことかもしれない。
「それじゃあ。いただきます」
「昼間っから食前酒かよ……」
「へ?」
そんなの当たり前って顔で見てくるんじゃないよ。こちとら未成年ですよ。
まぁでも。初めて会ったあたりじゃむしろ食事より酒のが多かったくらいだしな。
こっちだと平日の昼は学食だから人目があるわ。土日もミケや伊鶴に呼ばれるなり、一応試合見に行ったりもで明るいときに酒はあんま飲んでなかったんだよな。
だから、ある意味今が一番自然ではあるんだろうよ。
「
「ん? まぁ、そうね」
人によるとは思うけど大体はビールって聞くね。
んなことより、まずもって最初の酒は何って未成年に聞くの間違ってるけどね。そっからだぞテメェ。
「
手に取ったのはホットスナックからエントリー。チーズフランクフルトさん。
どっから聞き付けたか知らねぇけど、発祥の地がビールも有名ってことで買ったんだろう。わかりやすいヤツ。
「あむ」
「……」
「……?
「いんや? 別に」
こういうときってフランクフルト頬張ってるのがなんか~……ってのがお約束だと思うんだけど。こいつの場合ただ無邪気に小さい口で頬張ってるだけなんだよな。本当ただの食事。
なんだろ。こういうのって食べ方とか食べてる側まず意識してそういうのに見えるんだろうけども。
こいつ、完全に連想に至らずただただ飯として見てるな。
「ん。別個のは食べたことあるんやけど。一緒にしてもええもんやね。なにより……んっく! んっく! ぷは! 酒が合う!」
おうおう。フランクフルト一口に対して缶ビール一本空けたぞおい。ペース早いんじゃないか?
どうせ酔わないのはわかってるけども。
「んでも、味はええんやけど酒のほうが足りんくなるね」
二本目プシュッ!
じゃ、ねぇんだわ。お前の肴と酒のバランスが悪いだけなんだわ。口が小さいから固形物入りづらいのわかるけども。
「あむあむ。ふふ♪」
……まぁ、美味そうにしてるし。本人が幸せそうだからいっか。
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