第427話
『なぁるほどぉ~。それでこんな時間に連絡してきたと』
夕食も終え、それでも落ち着かないカナラのために一肌脱いだのはリリン。
こういうときもっとも役に立ちそうで何時にでも応じてくれそうな人――久茂井佐子に連絡を取ったわけだ。
ちなみに才はリリンによってコロナと灰音と共に風呂を済ませてこいと追いやられている。
『いや、あの後輩バカなのかな? なんで前日に言っちゃうかな……。女の子には色々と準備があるっていうのにさ。それにその様子だとデートプランも考えてないでしょ? かぁ~マジであの男。ほんまクソ後輩。ぶん殴りてぇ』
「そらお前。断るっつー選択肢をどっかに埋めてきた女相手だからな。雑にもなるだろうよ」
『それにしたって……。これじゃあ都合の良い女に対するクズ男だよ。蹴りも追加したいぜぇおい』
「クハハハハ。概ね相違ない」
「そ、そないに言わんでも……。坊が二人きりで遊ぼ言うてくれただけでも私は……」
「そうやって甘やかすから付け上がるんじゃないか? たまには厳しくしても良いんだぞ煙魔」
「えぇ……? 別に……なぁ? 坊は今のままでも。いいえ、今のほうが私としては……えへ♪」
『恋する乙女ってどうしてこうそそるんだろうか。私の心よスクリーンショットタイムだぜおういえ。むしろ私とデートしようぜ。後悔しかさせない自信がある』
「阿呆なこと抜かしてないでその腐った脳みそを貸すかどうかを今すぐ決めろド畜生」
『もちろん協力を惜しむつもりはないよ~リリンちゃん♪ 恋する
(乙女って年齢でもないがな)
※本人は正確には覚えていないが最低で七千歳オーバーなおぼこ娘カナラちゃんでござい。
『それに代金ももらっちゃったしね』
「あぁん?」
代価についてはさすがの察しの良い女である リリンにもわからない。
数秒という莫大な時間を使っても答えは得られなかったのだが――。
『先程のド畜生。実に美味しゅうございました』
「……」
あまりにくだらない答えにリリンも本気の呆れ面。
こんなことに時間を費やしたことを無駄に悔やまざるを得ない。
「まぁいい。とりあえずそっちに足を運ぶか。服についても困ってるんだろう?」
「え? ま、まぁそうやね。何着たらええかも決めとらんよ」
「それじゃ行くか。ロゥテシアは適当にあのバカ誤魔化しとけ」
「構わないが……。なんだか珍しいな」
「何が?」
「お前がこうも他人のために動くのがだよ」
「た、確かに……そうやね。なしてなん? リリンちゃんはもっとお遊びが好きやと思うんやけど」
「……フム。そうさな。理由は特にないんだが強いて言えば――」
――そうするべきと今感じているんだよ
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