第403話

「調子はどうだ?」

 影が消えてからすぐこっちに来るかと思ったけど、なにもゲートまで使って来なくても良いだろうに……。

 こいつはこいつで、コロナのことが気になってたのかもしれないけど。

「調子って言われてもな。とりあえず肉体からだのほうのベースはかなり変わったかも。つっても二割三割が良いとこで、なんとか死ぬ心配が消えたくらいだな」

 俺の腕を千切れたまま腹にぶちこんでたからな。俺の血が直接コロナを侵したお陰で峠は越したはず。

 問題は――。

存在うちはわからん。俺じゃ」

「フム。では我とコロナ両方と繋がれ。殻も程よく戻っているし、そとが我々と近くなったぶん存在なかも影響を受けているはず。恐らく我でも適応できる段階にあるはずだ」

 言ってることは半分くらいわかんねぇけど。リリンがどうにかなるつってんなら大丈夫だろ。

 でも一応の確認はしとくかな。

「万が一焼かれることは?」

「焼かれた時考える」

「……」

 可能性が消えたとは断言してくんねぇのかよ。

「なんにせよ。このままでも前よりは視えやすくなってるが、繋がらねばわからん。またコロナが自分に殺されかけることもあるだろうしな」

 危険リスク承知でやらなきゃいけないってことね。コロナのことを考えたらここでどうにかしないとってか。

 ま、元々そのつもりだし。そのくらいは受け入れてやる。

 それに、俺とリリンが同時に繋がれば万一コロナから熱が伝わってもなんとかなるだろ。

 俺たちは不死身だし、存在が全部侵食されなきゃ死ぬことはないだろ。

「じゃ、やるか」

「あぁ」

 目を閉じ、意識を内側へ向ける。

 深く深く意識を沈めて、まずは自分自身を強く認識。

 侵食されない為に自我は持たないとだからな。自分の認識これ大事。

 それで次はリリンと繋がる。お互いのマナを伝え合い。出来る限り混ざり合う。

 俺も上手くなったもんだよ。今じゃリリンを侵食せずにちゃんと繋がれる。

 ……さて、次にコロナ。

 前みたいに細い繋がりじゃない。今はリリンたち同様かなり奥までいける。腹に風穴開けた甲斐があったってもんだわ。

 ……だけど、なんだろ。概念的なもんだから断言はしづらいんだが。なんていうか、やっぱ固い印象があるな。

 入れはするけど、俺たちを馴染ませるのは骨って感じ。

(とはいえ、今すぐ我々が焦がされることはなさそうだな。今のうちに出来る限りコロナの深いとこに滑り込ませるぞ。一度深いところに欠片でも忍ばせればコロナもお前と同じところに行くだろうよ)

 つまり、間接的にリリンに近づくってことね。

 それはそれで心配ではあるんだけど。まぁ俺も性格はあんまり変わらなかったし。問題はないはず。

 コロナもコロナで頑固だし、性格への影響はないだろ。

 あとは肉体的、マナや存在の部分がリリンと同じになれば、自分に殺されることもなくなる。

(それに我々と繋がれるならば、常時繋がりを維持して抑え込んでやれば良い。熱が出る前に抑え込めば伝わることもないだろう)

 なるほど? なんにせよ急いでコロナを侵せってことかい。

 ……文字ならともかく、音にしたらサイテーだなこりゃ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る