第177話
「そんでお前らまだいんの?」
なんだかんだもう22時なんだけど? いつまでいるんだお前ら。はよ帰れ。
「えー別に良いじゃ~ん。こういう機会じゃないとさっちゃんと遊べないしさぁ~。あ、それもらって良い?」
「好きにしろ」
とか言いつつテメェリリンと遊んでるじゃねぇか。言葉と行動に齟齬があるぞー。別に良いけどさ。
「ロゥテシアさんも肌とか髪とか綺麗だよね。なんかやってたりするの?」
「特にはしてないな。普通に食べて、風呂に入って、寝てるだけだ」
「くぅ~……。
「私はむしろ勘の良さと体の動かし方が気になる。人間でないのだから人間離れしているのは当然だが……。コツなどがあれば知りたい」
「コツと言われてもな。儂らは狩り……所謂実戦で覚えるか遊びで覚えていたからな。結局のところ直に相手にした方が早い」
「では今度手合わせの相手をしてもらって良いだろうか?」
「機会と才の許可があればな」
「……良いか?」
「勝手にしろよ。ロッテもいちいち俺に許可求めなくても良いぞ~」
すがるような目で見やがって。ギャップ萌え狙ってんのか己は。
「おーいミス八千葉~? 八千葉さ~ん? 寝るなら自分の部屋に戻ろ~? 風邪引くよ~?」
「すぅ……すぅ……」
まったくだ。こんなところで寝るんじゃねぇ。
「もう。しょうがないなぁ~」
そう言ってお姫様抱っこをするのは良いんだが……。ミケよなぜベッドに向かっているのかね?
「おい。ヤるなら自分の部屋でやれよ」
「ヤるって……。な!? そういうんじゃないよ! なに言ってるの!?」
「じゃあなに? なんでベッドに運ぼうとしてんだよ」
「ソファで寝てたら冷えるかもと思って。せめてベッドにって……ダメ?」
「ダメに決まってんだろ。持って帰れ」
「僕ら違う部屋なんだけどなぁ~」
「知るか」
「あぁ。ルームメイトは私だ」
「お前だったのか」
なんで最後お前が答えてんだよ伊鶴さんよぉ~。一緒に来てるんだから知ってんだろが。
「じゃあ夕美斗。もうそいつ持って帰ってくれ。お前も疲れるんだろ? 明日が最後なら休んだほうが良いだろ」
「……それもそうだな。心配痛み入る。では私達は失礼させてもらおう」
「僕も行こうかな。最終日となると一番キツそうだしね。それに途中までミス八千葉を運ぶよ」
「折角だし頼む」
「うぃ~。おやすみ~」
「おやすみ。また明日ね」
三人は部屋を出ていったがお前は帰らんのかい。ゲームが途中だろうからそれまでは急かさねぇけど。早く帰れ。多美はどうせ付きそうだろうから伊鶴次第なんだろう。なおさらはよ失せろ。
と、黙って待つのもあれだし。風呂にでも入るかな。
「俺は風呂に入るがコロナは……」
「ん」
ギュッと力を入れてくる。まぁそうなるよね。
「俺はコロナを風呂に入れてくるから。お前らも早く帰れよ」
「え。さっちゃんが入れるの? 犯罪かよ代われよクズ」
「口にするから犯罪臭が出るんだろうが黙ってろ。つかコロナになつかれてもないのに風呂入れられるわけねぇだろ。こいつの
「あぁん!?」
「つかもうコロナちゃん来て結構経つし今さらっしょ。……本当に手出してないよね?」
「出すわけねぇだろ」
多美にまで疑われるのはちょっとショックだわ。お前だけはそういう下品な目で見ないと信じてたのに……。
「とりあえず風呂から出るまでには帰っとけよ~。ロッテ。タオルと着替えは……」
「もう置いてある」
「そうか。ありがとう」
さすがロッテ抜かりなし。良いお嫁さんになれるよ。行き遅れだけど。
「おい。死んでるぞ」
「あ、しまった!?」
「よそ見するから~……」
「ぐぬぅ~……。さっちゃんのバカ!」
「人のせいにしないの」
「あだ!?」
本当だよ。はたかれて当然だバーカバーカ。
「帰ったか……。リリンお前も風呂入ってこい。お前はまだだろ?」
「あぁ。丁度終わったところだ。済ませておこう。あ、端末に通知が来ていたようだぞ」
「あぁ」
リリンとすれ違うようにしてテーブルに放置しといた端末を手に取ると、たしかになんか連絡が来てるな。
「え~っと? 先生からの一斉送信……?」
嫌な予感しかしないけど……。目を通すしか……ないよな。
『明日。知人を呼ぶ。指導を受けられるかはヤツに気まぐれになるが。会うだけでもお前らに得があるだろう。が、面を見るだけでも話を聞くだけでも心臓に悪い生物なので心しておくように』
「……」
あ、あの先生がこんなに念を押す相手……。嫌な予感が確信になったぞぉ~……。
恐らく他の連中もこれ読んだらにたようなこと思うんだろうなぁ~。目に浮かぶわ。
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