第149話

「……え~っと」

「(´◎u◎`)」

 ふむ。これは思ったより……まずいのでは?

 パニクってたから手を引いて岩陰まで引っ張ってきたのは良いんだが、煙魔の身をちゃんと陰に隠れるようにしたら勢い余って俺の上に座るような形になってしまった。

 それだけならまぁそこまで……って言ったら変だけど。煙魔が変顔晒すようなことにはならなかったと思う。たぶん。

 じゃあなんで黙ったまま変な顔になっているのか。うん。それはだな……。


 1、後ろから抱き締めている。

 2、座っている。

 3、勢い余ったが故に俺の上に座ってしまう。

 4、煙魔の裸ですでに男の部分が反応している。


 この四つの要素から答えが導かれるだろう。はい。お察しの通りです。アレが煙魔の尻に当たっております。申し訳ない。

 ……細身だったから意外なんだけど、思ったより肉乗ってるな。このケツ。

「……」

 いけね。いつまでもこのままでは不健全。すでにやってまった感あるけどそこは事故ってことでよろしくお願いします。

「……おい、いい加減起きろー」

 背中を引き寄せて耳元でささやく。ちゃんと下半身は離しながらな。さすがに正気取り戻したときにもまだケツにアレ密着してたら可哀想だし。

「……」

 っておい。呼びかけても反応がないぞ。重症だな? そんなにショッキングだったのかな? 男性経験ないなら当然っちゃ当然……なの……か?

「おーい。大丈夫かぁ~? いつまでフリーズしてるつもりだぁ~? お~いって」

 それはそれとして、とりあえずはよ正気戻せ。

「……」

 ふむ。ほっぺペチペチしたり引っ張ったり色々試みてるけど全然反応がないな……。ずっとこの顔→(´◎u◎`)のままだわ。

 これはちょっと荒療治に踏み切ったほうが良いかなよしそうしよう。

 我ながら即決過ぎる気もするが、このあとどうしたら良いかわからないし、早く目覚ましてほしいんだよ。いやまぁ目はずっとひんむいてはいるけども。

 というわけで俺は勇気を出してちょっと荒っぽいことをします。煙魔もこのままじゃバレたときに隠れられないだろうからな。これもお前のためだ許せ。

 ……一応声上げられないように口は塞いでおこう。あと腕後と巻き込むように腹へ腕を回してガッチリホールド。よし! 準備万端! これで騒がれてもなんとかなるだろ!

「ん、ん~……」

 ……でも、なんか犯罪臭いなこれ。大丈夫かなこの絵面。若い女の子襲ってる男に見えないかな?

 ま、まぁ仕方ないと割り切ろう。目的を忘れてはならない。では、いざ参らん。

「いただきます。……あむ」

「……!!? ~~~~~~~~~っ!!?」

 耳を甘噛みするとあら不思議。ジタバタと暴れだしたではありませんか。ガッチリホールドしてるから水の音はあまり目立たない。……本気の力で暴れられたらわからないけどな。

「……落ち着け。向こうにバレるぞ」

「……っ!」

 耳元でささやくと暴れるのをやめた。今度はちゃんと反応があったな。耳あむあむの効果は絶大だったようでなにより。やはりショッキングにはショッキングなことでなんとかなるもんだな(?)

「手、離すけど……。大声出すなよ?」

「……」

 コクりと頷いたので手を離してやる。抑えてた腕も緩める。

「……そ、その。おおきに……な。危うくあの娘らに顔見せてまうとこやったわ……」

「いや別に。つかお礼言われるとは思わなかったわ」

 セクハラとかそういうレベル逸脱してるからね俺がやったこと。強○未遂と取られても不思議じゃないもん。それなのに許すどころかお礼とか。お前は本当に良い女だなぁ~。これは俺もお礼を言わないと。

「むしろこちらこそありがとう」

「……ん? 何がぁ?」

「いや、体見たり触ったりしても特に怒らないから。良いモノ見させてもらいましたごちそうさまです」

「~~~~~~~~~っ//////」

 全身真っ赤にしやがって。わかりやすいな。

「こ、こんな変な体見てな、何がええのよほんま……。あ、またからかっとんのやな……? も、もう。び、びっくりするわ……。やめてやそういうの……」

「いや別にからかっては……」

「せ、世辞はいらんから。ほ、ほんまにそういうのええから……!」

「ふむ」

 必死かお前。ここまで否定されるとちょっとムキになっちまうぞ。

「……嘘じゃないこと。お前が一番わかってるだろ?」

「え? な、何で……?」

「わざとじゃないけど。さっき押し付けちまったやつが嘘言ってない証拠になるだろ?」

「さっきって…………あ……っ」

 今目線が行きそうになったな? 歯食い縛って耐えたけど。少なくとも触ったのは覚えてるみたいだな。

「な、何の事かわからへんなぁ~……? 私ナニかいらんもん受け取ってしまったんかなぁ~……? なんやろなぁ~……?」

 ほう。とぼけるつもりか。顔そんな真っ赤にして言い逃れできるわけねぇのに。

 お前の力はたしかにおっかないし、あんまり過度にからかうのはいけないとはわかってる。

 でも同時にお前ものすごくいじめたくなるオーラあるからめっちゃいじり倒したいんだよ。

 はい。スイッチ入っちゃいました。少しばかり本意気で煙魔いじめ入りまーす。

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