第27話 呼び声
「ち、ちが・・わたし・・そんなつもりじゃ・・・ちゃんと回復を・・・いやああぁぁ!!」
数分前
東雲真弓side
ライーザさんのトールハンマー凄かったなぁ。雷の鉄槌がどーん!って感じで。威力も別格であんなに兵士さんたちが苦戦していた魚っぽい敵が半分くらいいなくなっちゃって。
王女様の上級魔法にしたってあんな強力な魔法が私にも使えたら・・・銀次君や皆を危ない目に合わせられずにすむのに。まだ私にはレベルが足りないって。今の私に出来る事はこのマジックアローでみんなを助ける事だ。
「えいっ![マジックアロー:
ゲゲゲァァ・・・
よし。ライーザさん王女様、二人のおかげで魚外敵なら私の弓でも核を壊せる!もう少し。もう少しでなんとか外敵を追い払えそう。
そんな希望が少し見えてきた頃突然銀次君の目の前におかしな魔獣?が現れたみたい。なに?あの魔獣・・・あれも外敵なのかな?今までみた外敵よりも種類が違うってゆうか不思議な感じがするよ。
ザクッ!
「ぐあああっ!」
ああっ!銀次君が!助けないと!
よし!右の矢筒には攻撃魔法、左の矢筒には回復魔法が入れてあるんだ!二つの矢筒を使い分けるって事は昔からやってたから間違えるなんてまずないよね。
シュン
!?えっ?今誰か目の前を通った?
「ふぉっふぉ。儂の偽装魔法を見抜くとは流石は異界の勇者・・・いや、選ばれし哀れな子羊たちよ。まあいい。恨むなら・・・」
「『深遠なる闇の精霊よ。我に従い闇を一層濃くしたまえ。其の深濃なる闇にて彼の者を魅了せよ。<<ダークファシネイト>>』」
・・・あれ?ワタシ何しようとしてたんだっケ?
ハ・・イ・・ジョ・・・
ブシュウ!!
「あああああああ!!」
「はぁ、はぁ、マ、マユミ様!ギンジ様に回復をお願いします!」
ああ、そウだ!早く銀次君を助けないト!左の矢筒二攻撃魔法、右ノ矢筒に回復魔法のマジックアローだったヨね!
「・・・・・は、はい!待ってて銀次君!今回復するから!マジックアロー:
あれ?今の癒しのマジックアローだったよね?なんか変な感じ・・・
ドス
ゴォォオ!
「ぐああああっ!!ほ、炎!?何で!」
え?嘘・・・なんで・・・
弓の扱いには多少の自信がある。小さい事から実家の道場でお父さんのお弟子さんたちと一緒に弓を使ってきたんだから。
お父さんは勉強にも弓にも厳しくて逃げ出したい事もあったけど上手く出来た時に良く出来たねって優しく頭を撫でてくれるのが大好きで・・・それで・・・
「あ、あ・・・」
「まゆまゆ!何しとんねん!」
「ち、ちが・・わたし・・そんなつもりじゃ・・・ちゃんと回復を・・・いやああぁぁ!!」
その後はよく覚えていない。何故か暗い霧に辺りが覆われて少ししたら晴れて・・・
「あ、あ、あ、ぎ、銀次・・君・・・ご、ごめんな、さい・・・」
左腕の無くなった彼があの恐ろしい外敵に空間の裂け目に突き落とされるのを見て意識を失った。
須藤銀次side
「があああぁぁぁ!!!・・・クソッ・・・」
なんなんだよこれは・・痛い・・いや、熱い・・左・・腕?・・肘・・下が無い・・・
血?血は・・!?黒焦げだ・・痛い 熱い 痛い 熱痛い
ズクン
あ?左目・・?見えない?えっ?なんで?左手でかばってそのまま?・・クソッ痛てぇ・・・
ああ、そうか思い出してきた。あいつ・・・いや、あいつらが・・・!!
こ、ここは・・・どこだ・・?色々な人物、風景が無数のウィンドウの様な物に映っている・・・俺はさっきまで遺跡にいて・・・外敵、それも一段と気味の悪いやつにやられて・・・空間の裂け目に落とされた・・・でもその前に・・裏切られた。
そうだ!俺は裏切られた!東雲さんに、勇人に、王女に、あの国に、世界の全てに!
勇人の言葉を鵜呑みにしたわけじゃない。が、初めから全て仕組まれていたとしたら?メーシーにしても友人だと思っていた。王の命令だとしてもあそこまで遺跡攻略を進めた理由は?
実際にどんな理由があろうとも俺は実際に仲間だと思っていた同期から攻撃を受けこうして死にかけている。
もしこのまま死なずに生き残ることが出来たら・・・外敵だろうが勇者だろうが関係ない。必ずやってやる!
逆 襲 だ
ドクン
────随分ト手間ノかかる────
ドクン
────早くここへ来い!!────
バキ゜ン
ゴワァッ!
な、なんだ!?赤く巨大な手の形をした・・・これは魔力?なのか?
その巨大な手が空間を割り俺を鷲掴みした。
「おい!俺をどうしようって言うんだ!俺はまだ死ぬわけには・・・!!ぐっ・・・!ダメか・・・」
そのまましばらくウィンドウ空間を振り回されている途中で痛みと体力の限界で意識を失ってしまった。
ドサ
・・・ここは?今度はどこだ!?・・・土?周りは気が生い茂っている。森か。しかも相当深い森林の様だ。あの変な空間からは別の場所か・・・
「っつ・・・!」
痛みはまだかなりある。当然だ。左腕は肘から下が無いし左の目も見えていない。
そうだ。故意か誤射か定かではないが腕は勇者に焼かれ、確実に故意で切り飛ばされ、左目は外敵に突き抜かれた。目に関しては脳までレイピアが達していなかったのは奇跡なんだろう。
────早く来い────
「・・・赤い、光?」
────こちらだ────
「あれは・・・なんだ?ぐっ・・・!痛ぇな!ちくしょう!」
痛みで気絶しそうな体を引きずりながら森の奥の方から感じる気配と赤い光に向かっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます