第721話
昼飯を済ませた後にマホやロイドに連行される形で大型ショッピングモールっぽい店までやって来た俺は、陽が暮れるまで2人の買い物に付き合わされた挙句に大量の服が入った紙袋を両手に抱える事になってしまっていた。
「やれやれ、賞金が手に入ったからってコレは流石に買い過ぎたんじゃないのか?」
「ふふっ、すまないね。この時期限定、しかも王都でしか取り扱っていない私好みの服が幾つも見つかってしまってつい自分を抑えきれなくてね。それにマホやソフィに是非とも着て欲しい可愛い服もあったから、買わない訳にはいかなかったんだよ。」
「えへへ、本当にありがとうございましたロイドさん!買って貰った服、大切に着ていきますね!」
「うん、楽しみにしているよ。九条さんも頼んだからね。」
「へいへい……ったく、俺の服なんて買わなくても良かったってのによ……」
「いやいや、そうはいかないよ。九条さんに似合う服を見つけてしまったからには、その機会を逃す訳にはいかないだろ?」
「はぁ……俺としては逃してくれて全然構わなかったんだけどな……それに買うなら自分の金で買ったっての。」
「まぁまぁ、ここはロイドさんのご厚意に甘えてみてはどうですか。」
「マホの言う通り。九条さんには普段からお世話になっているから、たまにはお礼もさせて欲しいな。」
「……そんなのどっちもどっちってなもんだろうが……俺達はその……仲間……ってやつなんだからな……」
「「………………」」
「ん?な、何だよ急に黙ったりして……自分でも恥ずかしい事を言ってるのは自覚をしてるんだから無言はやめてくれよ!」
目を大きく見開きながら立ち止まった2人の視線から逃れる様に大声を出しながらそっぽを向いた直後、両腕に柔らかい感触が同時に伝わってきた!?
「全くもう、本当に九条さんのそういう所には困らされてしまうよ。ね、マホ。」
「はい!仕方のないおじさんですね!」
「ちょっ、いきなり何の事だよ?!ってか離れろっての!あ、暑いだろうが!それに荷物だってあるんだし!」
「ふふっ、荷物なんて私達の邪魔にはならないだろ?」
「えぇ、そうですよね!」
「いや、意味が分からんのだが!?お、おい!」
「さぁ、それでは宿屋に戻りましょうか!荷物を置いてからじゃないと夕食を食べに行けませんからね!」
「あぁ、今日は何処で食事をしようか。マホ、行ってみたい所はあるかい?」
「えっとそうですねぇ。実は気になるお店を見かけたのでそこに行ってみたいです!外に置いてあった看板に冷たいお料理を提供してるって書かれていて!」
「へぇ、それは興味深いね。それでは少し早いが今日はそこで」
「俺を挟んだまま会話をするのは止めてくれませんかね!?つーか本当に腕を離して下さいお願いします!」
色々な意味で熱中症になりそうになりながら腕を引かれる様にして歩く事になった俺は、天国とも地獄とも言える時間を過ごす事になるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます