第678話
盛大にフラグを立てたつもりだったがコレと言って大きなイベントも起きないまま数日が経過して、第二の指導を始める事にした俺はエルアとクリフを連れて街の外に広がる平原へとやって来ていた。
「よしっ、それじゃあ今日からやっていく事の説明をするぞ。とは言っても、2人にやってもらう事は簡単だから安心してくれ。」
「分かりました。それで九条さん、僕達は何をすれば良いんですか?」
「あぁ、2人にはこれから連携を意識しながらモンスターと戦って貰いたいんだ。」
「連携だと?何故今更になってそんな事をする必要があるんだ?我らの実力であればそんなものは不要な技術だと思うが?」
「いや、そんな事は無いぞ。モンスターの脅威度ってのは各地で大きく変わるんだ。自分1人だけでどうにかなると思ってると命を落とす可能性もあるぞ。」
「……それは九条さんの実体験から出た言葉ですか?」
「あぁ、その通りだ。メチャクチャ気恥ずかしい話だけど、俺が今までとしてやってこれたのはあいつ等やお前達も含めた大勢の人達が力を貸してくれたからだ。」
「ふんっ、ようやく我の偉大さが分かったという事か。」
「クリフ、真面目に。」
「ははっ、まぁ間違ってはないから注意する事でもないさ。けどな、クリフが本当に各地を巡ってみたいと思ってるんだったら見知らぬ人とも上手くやってけるぐらいの技術は身に付けておくべきだとは思わないか?」
「……それは……」
「そうですね。クエストをやるにしてもダンジョンに挑むにしても、協力しなければいけない場面は必ずくると思います。」
「だろ?そんな訳だから、2人には自分の立ち位置ってもんを見つけて貰いたい。」
「……立ち位置?」
「おう、クリフ。お前は前にガンガン出て戦いたいタイプだろ?それなら前衛に出てモンスターを倒して道を切り開く戦い方を知って貰いたいんだ。」
「ふむ、確かに後ろに隠れるのは我の戦闘ではないな。良いだろう。今日はその事を意識しながら立ちまわってみようではないか!はーっはっはっは!」
「……納得してくれたなら何よりだ。そんでエルア、お前はとにかく仲間の命を護る為の戦い方をして貰いたい。」
「命を……護るですか?」
「あぁ、周囲に気を配りながらモンスターの攻撃から仲間を護るんだよ。とは言え、そうする為にはまずクリフがエルアの事を気に掛ける必要があるんだけどな。」
「……つまり連携を取れる形を維持しろと言う事か。」
「そういう事。分かったなら早速実践だ。ほら、さっきの高笑いのせいでモンスター共が引き寄せられてきたぞ!お前等、気張って行けよ!」
「ふんっ、言われるまでもない!エルア、我に合わせろ!」
「了解。でも、あんまり前に出過ぎない様に注してくれよ!」
眼前に広がっている森の奥から狼系モンスターが群れとなって姿を現したのを目にしたエルアとクリフが武器を構えるのを見た俺は、彼らから少し離れた場所に移動をして指導を始める事にするのだった。
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